BOYS AGE presents カセットテープを聴け! 第三回:『バットマン』O.S.T.

気鋭の音楽家ボーイズ・エイジがカセット・リリースされた作品のみを選んで、プロの音楽評論家とがちんこレヴュー対決!


いきなりサントラの第一回目、そして大名盤を扱った第二回目と来て、今回はまたサントラ! なんで!?

『バットマン』O.S.T.(購入@中目黒 waltz


そして、ボーイズ・エイジKAZと対決する音楽評論家は、岡村詩野! 勝敗は如何に?

>>>先攻

レヴュー①:音楽評論家 岡村詩野の場合


例えば、かつて山下毅雄が手がけたテレビ・アニメ『ルパン三世』(第一シリーズ)の音楽がそうだったように、本作はポップスの枠組みにおける優れたジャズ作品の1枚として評価するべきだろう。あるいは、それまでジャズ的手法とされてきたアレンジや作曲法を(本来)子供向けのポップな作品としてわかりやすくカタチにしたもの、として。それも、ポップ・ミュージック黎明期において群を抜いて洒落た1枚であることには疑いの余地がない。


キャッチーなのに群を抜いて洒落ている……その理由は簡単だ。誰でも知ってるあのテーマ曲における「バットマ~ン!」のスキャットである。同じリフ、メロディのリフレインを多用しヴァリエーションをつけながら展開させる、それこそモダン・ジャズやビッグ・バンド・ジャズの手法。セリフやナレーションをまじえながら、いくつもの曲の中で「バットマ~ン」のリフをサブリミナルのように繰り返すことでポップさを際立たせる。本作の面白さはそこにあると思う。


主に60年代~70年代のアメリカ映画、テレビ音楽を手がけた作曲家の多くが、ジャズ畑からの転身、発展組だったことはよく知られているが、中でもこの『バットマン』のテレビ実写シリーズの音楽を手がけたネルソン・リドルはトロンボーン奏者として活動した後、編曲でナット・キング・コールやフランク・シナトラの作品に関わった叩き上げ。加えて、「バットマ~ン!」のスキャットがひたすら繰り返されるお馴染みのテーマ曲は、実はこちらも映画音楽を多数手がけてきたニール・ヘフティが作曲したもの(本作ではこのテーマ曲以外はリドルが作曲)。ヘフティもまたトランペット奏者として出発しコンポーザーへと活動の場を広げた転身組だ。


この両者に共通しているのは、それぞれにトミー・ドーシー、カウント・ベイシーの楽団に所属していたということ。ビッグ・バンドの実地で大所帯のスコアを知りアレンジのノウハウを学んできた二人は、テレビ、映画産業が活発化する時代にこうした「お仕事」を多くこなしている。そして、この時代においてこうした裏方現場でのジャズからポップスへのスタイル、手法の流出、拡張が後にポップ・ミュージックを大きく発展させた一因になっただろうことは言うまでもない。あのプリンスもまた、『バットマン』がティム・バートンによって89年に実写化された際に「バットマ~ン」のリフを引用した。同一のリフやメロディを効果的に繰り返す手法は、冒頭でも名前を出した山下毅雄の常套手段だった。彼もまたジャズ・フィールドから転じて多くのテレビ、アニメ音楽を手がけた日本における第一人者だ。


もっとも、こうした経歴を一切知らなくても、スパイ、アクションものの雰囲気、アメコミの匂いを今の時代においてもたっぷり味わえる粋な1枚となっていることが素晴らしい。と言いつつも、この作品が気に入った方は、同じヘフティが手がけた『裸足で散歩』『女房の殺し方教えます』、リドルが手がけた『華麗なるギャツビー』といった映画のサントラもぜひ聴いてみることをお勧めします。


【サイン・マガジンのクリエイティヴ・ディレクター、田中宗一郎の通信簿】

★★★★

とてもよく出来ました。詩野ちゃんのお勉強ぶりにはいつも先生はとても感心しています。予習、復習を欠かさない。国語でも算数でも社会でもどんなお勉強も歴史の積み重ねを理解しているのと、していないとでは大違い。詩野ちゃんはそれをよくわかっています。ただこの作文を読むと、クラスのお友達のみんなが詩野ちゃんのことを偉そうだ、上からだと言ったりする理由もわかりますよね。特に宿題の提出の期日は必ず守って下さい。詩野ちゃんの悪い癖だぞ!

>>>後攻

レヴュー②:Boys AgeのKazの場合


こいつは完全に私の趣味だ。というか、不朽のダサロックンロール“バットマンズ・テーマ”をカセットで聴きたいからこれを経費で買わせたんだよ。別にバットマンは特別好きじゃ無いよ。我ながら酷い。このクラシック・バットマンはこの前まで二代目と勘違いしてたけど、確かテレビ・ドラマの最初のやつで、放送は半世紀前だったかな? 今と違ってコメディ(というか一部の描写に至ってはただのアホですな)な作風で、でも今でも熱狂的なファンがいるよ。バットマンのスーツは灰色のただの布で、ビニール感あるパンツで股間への集中線がすごいね(BatmanというよりButtmanだったフォーエヴァーよりマシだよ。Buttの意味は絶対にググるなよ)。クラシック・バットマンでは、『ジョーズ2』並に酷いサメの人形と格闘するシーンがあるんだけど……もう止めよう。


このテーマ曲にクソ似てる(というかもう絶対パクってるよね)“バッド・ボーイズ”という曲をアメリカの我々のボス・レーベルのひとつ〈ナー・テープス〉のバンド、ホワイト・ファングがやってるんだけど、音は最低、MVのセンスもオゲレツのモーレツ・サウンドでリリースしてるよ。コキ下ろしてるようだけど(上のButtとは掛かってないよ)、本当に大好きなバンドの一つだよ。彼らは勿論、主力商品としてカセットテープをリリースしていて、Boys Ageの米国デビュー盤もココと〈バーガー・レコーズ〉と〈ブリーディング・ゴールド〉からリリースしてるよ。おかげさまで商売への扉を開くことが出来たよ。音楽をやるためには音楽の成果としてのわかりやすい結果と資金が不可欠だからね。でもこれだけで食ってくのはまだ我々には無理だよ。日本の音楽ファンの多くの「音楽ファン(笑)」はまだ類人猿の域すら出てないよ。「No Music No Life」なんて言って無作為に音楽を喰ってる間はね。常々思ってることだけどね。


本当に、音楽ってのは理解する側の知識にも依存するんだよ。無から相対性理論を理解するなんて超常的ブラックボックスにでもアクセス出来なきゃ無理だよ。「理解されるものを作れよ」とか、居丈高に語ってる馬鹿がいるけど、そういう奴に限って全く発展性のない音楽を10年かけて2~3枚程度のアルバムで展開してるようなどうしようもない無才の愚者だよ。そういう輩の言うことは全部運だけで成り立ってるのを実力と勘違いしてるやつだから「カーンチ、●●しよっ!」ってケツの穴に鉄パイプを差して、お汁粉の中で液化した焼き餅を直腸に流し込めばいいよ、小豆ごと。……だからButtとはかけてないってば。


“Romance Planet”って曲公開したので聴いてね。


【サイン・マガジンのクリエイティヴ・ディレクター、田中宗一郎の通信簿】

★★★

よく出来ました。カズくんは周りのお友達のことも隣のクラスのみんなのこともよーく見てますね。その観察眼の鋭さには先生もびっくりです。でもクラスの人気者になるには言葉遣いとか態度だけでも気を使った方がいいかもしれないね。わざとヒールをやっても得なことはひとつもないよ。って卒業生の田中くんも言ってましたよ。これからも頑張って!


勝者:岡村詩野

田中先生の通信簿への発奮か善戦したものの、惜しくもボーイズ・エイジ3連敗。しかし、そろそろ覚醒の予感も…!?


次回もみんなで読んでね!

〈バーガー・レコーズ〉はじめ、世界中のレーベルから年間に何枚もアルバムをリリースしてしまう多作な作家。この連載のトップ画像もKAZが手掛けている。ボーイズ・エイジの最新作『The Red』はLAのレーベル〈デンジャー・コレクティヴ〉から。詳しいディスコグラフィは上記のサイトをチェック。

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