BOYS AGE presents カセットテープを聴け! 第二回:『アウトバーン』クラフトワーク

気鋭の音楽家ボーイズ・エイジがカセット・リリースされた作品のみを選んで、プロの音楽評論家とがちんこレヴュー対決!


いきなりサントラがお題となった話題の第一回目に続くのは、いきなり来た大名盤クラフトワーク『アウトバーン』!

クラフトワーク『アウトバーン』(購入@中目黒 waltz


そして、ボーイズ・エイジKAZと対決する音楽評論家は、河村祐介!


前回は評論家が勝利を収めたが、さてどうなる!?

>>>先攻

レヴュー①:音楽評論家 河村祐介の場合


本作はポップ・ミュージックにおける電子音楽のエポック・メイキングな作品であり、シンセサイザーと電子パーカッションの大幅な使用で、クラフトワークのその後のエレクトロ・サウンドを確立したアルバムと言われている。オリジナル・リリースは1974年だ。


が、しかし、ポップ・ミュージック史を考えたときに本作の重要度は大幅な電子音の使用という単なる手法だけでは説明出来ないものがある。重要な点はポップ・ミュージックでは、それまでとりあげてこなかったような大きな「概念」そのものを新たな表現の題材として持ち込んでしまったところにある。ここで取り上げた「概念」とは、勿論、「自動車による旅」、これである。「なにを使ったのか?」も重要だが、「なにをどう表現したのか?」も重要な作品なのだ。そう、しかも「歌詞」ではなく、サウンドそのものの響きを中心に、風景や気分、手段も含めた、旅という「概念」を単純明快に伝えることまでしてしまった。それまでのポップ・ミュージックの一般的な形態を解体しながら、それでいて愉快なポップをやってみせたという痛快で巨大なおまけもつけて。勿論、このスタイルはその後のクラフトワークの十八番となる。


ちなみに本作はアナログやテープでは、A面に表題曲である“アウトバーン”、B面には4曲の楽曲を収録。後者は彼らが現在廃盤とし、そのディスコグラフィから消し去っている1stや2nd、もしくは若干本作にその表現は近いながらもまだまだ抽象度の高い3rdの音楽性を踏襲している感覚のものだ。単純明快な“アウトバーン”の持つポップさには到底およばないアブストラクトなものといえる。本作の歴史的な意義は、なにはともあれ“アウトバーン”だ。


エンジン・スタートの音、そして自動車のクラクションを模した電子音、ボコーダーによる「アウトバーン」の声はどこを走っているのか指し示す、繰り返すシンセのベース・ラインは長らく続く道のりを示し、ときおり現れる歌はまるで運転中の鼻歌程度。歌詞は単純に風景を描写する、その代わりにシンセサイザーの楽しいメロディが、運転手の気分を歌うのだ。人間の想像力を刺激するシンセの抽象的なサウンドだからこそ表現出来るディフォルメされた記号たち。彼らが電子音楽で表現するという必然性は、こうした「概念」の全体を伝えるという表現のコンセプトに担保されている部分でもある(それゆえに本作はエレクトロニック・ミュージックとしても重要なのだ)。3分のポップ・ソングではなく、20分という演奏時間も旅という「概念」を表現する重要な要素だろう。こうしてアウトバーンの愉快な旅という「概念」は、書き割りのように楽曲全体でもって総合的なコンセプトで描かれていく。こうした要素から生み出される単純明快さはこの曲がポップ・ミュージックと成立する立脚点でもある。


ちなみに本ヴァージョンは、ジャケットに映るマトリックス・ナンバーからして、ニュージーランドの〈EMI〉からリリースされたカセット・ヴァージョンということになる。『アウトバーン』には、本作と同様のオリジナ盤と同様の、まさに書き割りのようなイラストのものと、当時のイギリス盤にはじまり、現在のリマスタリング盤に採用されているアウトバーンを示す標識をモチーフにしたふたつのタイプがある。どちらのジャケット(標識、イラスト)にしろ、ディフォルメされた自動車旅行の風景を指し示す。写真ではなくイラスト、そして記号というのは、イマジネーションを呼び込む抽象的な電子音の表現と対になっている。まさに『アウトバーン』の内容を、総合的なアートとして、ジャケットがサウンドとともに表現しているのだ。


それにしてもいまだにここ日本でも車載の音楽メディアとして生き残っているカセットテープで、このコンセプチャル・アートを「聴く」というのもなんとも言えない感覚がある。


【サイン・マガジンのクリエイティヴ・ディレクター、田中宗一郎の通信簿】

★★★

よくできました。祐介くんの作文の素晴らしい点は、全体の幹になる論旨と骨格がきちんとあること。この作品が表現しているのが、作家さんの気持ちや感情でなく、車での旅という概念だという指摘。祐介くんの視点はまさにプロの評論家さんだと先生は溜飲を下げました。ただ相変わらず文章の綴り方が乱暴ですね。ちょっと偉そうな感じがするのは祐介くんの気の小ささが出ています。前の担任の野田先生の教え方が間違っていたのかもしれませんね。これからも頑張ってね。


>>>後攻

レヴュー②:Boys AgeのKazの場合


前回のレヴューは読んでくれたかな? だいたい御察しの通りタナソー氏(うじって読みます)のあの総評は出来レースだよ。(そして素人目にわかる総評の驚きの白々しさな)。


「出来レースで俺をハメ、その上裏切るのか!?」。『BLACK LAGOON』のネオナチ党の断末魔が心地いいね。某レヴュワーも言ってるけど、ナチスはフリー素材じゃねぇよ(あと前回のレヴュー本分前の煽り文で、「がちんこ」をその前後に句読点もなくひらがなで書いたのは最低だと思います)。


第二回はドイツのテクノ・ユニット、クラフトワークの『アウトバーン』(上のナチの流れは偶然だから)。ヴィンテージ・テクノの大名盤だね。今更説明することなんか何もないよ(すまん、ちょっと嘘だ。アウトバーンはドイツにある速度無制限の高速道路のことだよ。音楽もそれを表現してるよ)。


夜灯りを消した暗い部屋で、窓から差し込む水銀灯の光を瞼に受けながらこの20分を超えるタイトル・ナンバーをとても小さな音で流せば、もう完璧だよ。この曲はアンビエント的でゆったりとした曲調だから、君が長距離走行中として、知らず知らずアクセルをゆるりと深く踏み込んでて、気づいたら「キレたKNIFE☆」になってるよ。『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』で調子に乗ったオニギリばりに。横浜当たりでぶっ飛ばしてる調子に乗ったスポーツカーは、横浜銀蠅かけながら大型トラックで轢き潰したくなるよ。さながら、『ターミネーター3』のT-Xの如く。いや、3なんてなかったし、『バットマン フォーエヴァー』もNEVERなかったけどさ。進路変更する直前に、行為に移りながら合図を出す車はそのままマグナムトルネード失敗したみたいにカッ飛んで月の裏側に消えちゃえばいいのにね。考えるのを止めてるなら、考える必要の無い場所に行ってしまえばいいのに。


カセットテープで聴く価値があるかは、やはり好みかな。私はプリアンプを通してないレコードプレーヤーでもいいと思うけど、とにかく薄っぺらな音で小さな音量で聴いてほしいかな。私のベスト・アルバム・エヴァー、これまでで最高の他人の音楽の一枚だよ。勿論、太陽系の帝王は我らBOYS AGEだよ。依然変わりなく。


そういえば、今回から文章中でBOYS AGEの音源を宣伝しなってタナソー氏から要請を受けたんだけど、差し込む余地が無いのよね。公開日的には『永遠(TOWA)』っていう、レクター博士めいたジゴロ・サイコキラーを主人公にしたアルバムが数日後に出てるから買ってね。多分このへんに校正担当者がYoutubeとBandcampを差し込んでくれはずだから。

あと月間の再生数は目算で30,000回ぐらいなのに売り上げは300ドル以下っておかしいわ。あたし、それはおかしいと思うの。ギブミー1ドル、ワンダラー・マネー・ウォーズ。お宝はいただいてくゼェ。


追伸、「カセットテープを聴け!」ってタイトルだけど、そこに価値を見出せないなら無理にカセットを選ぶ必要は無いのよ。と、すれば、だ。


この企画は失敗なんじゃ……。


【サイン・マガジンのクリエイティヴ・ディレクター、田中宗一郎の通信簿】
★★

もう少し頑張りましょう。カズくんがクラスの問題児だと言われても、先生はいつもカズくんの味方ですよ。でも、こんな風に舞台裏を暴露されたりすると、少し悲しいかな。カズくんの文章は相変わらず愚痴と呪詛だらけだけど、作品の数多の可能性をきちんと引き出すことで、誰もがこの音楽を楽しめるようないろんな視点を的確に提示してくれますね。先生はそんなカズくんの聡明さが大好きです。お金儲かるといいね。これからも頑張ってね。


勝者:河村祐介

ということで、2連続で音楽評論家の勝利となりましたが、次回ボーイズ・エイジの逆襲なるか!? そしてレビュー対象作品は一体なんなのか!?


次回もみんなで読んでね!


〈バーガー・レコーズ〉はじめ、世界中のレーベルから年間に何枚もアルバムをリリースしてしまう多作な作家。この連載のトップ画像もKAZが手掛けている。ボーイズ・エイジの最新作『The Red』はLAのレーベル〈デンジャー・コレクティヴ〉から。詳しいディスコグラフィは上記のサイトをチェック。

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