中目黒の眼鏡ショップ「ベリーでナード!!」ある男がこういった。「今日が人生最後の日だとしたら、今日やることは本当にやりたいことか。もしノーという答えが何日も続くなら、君は何か変えなくてはいけない」と。僕は何年も続けてきた仕事を辞めるとき、この言葉を何度も頭の中で繰り返した。期間にして約半年。長いとも短いとも言えるその半年間で学んだことは、心の声はいつも正しく、それでいて無責任ということだ。ひとつの大きな決断をしたある日、僕はソワソワした気持ちを落ち着かせるため、どこかで酒を飲むことにした。こういう日はJAZZバーのような薄暗い場所ではなく、もっと明るくポジティブなところがいい。真っ先に思い浮かんだのは、中目黒にある眼鏡屋だった。2016.12.24 12:00
Wandering Tokyo:タクシードライバーがすすめる店「大衆の意見が気になる奴は、“ココ”に自信がないんだろうね」編集者Aはこめかみあたりを指で突きながら僕に言った。「だいたい会社の会議とかでもそうじゃん。一般的な意見って聞けば聞くほど、結局はありきたりなアイデアになるだけ。そういう会議って、どうやっていいアイデアを出すかは二の次で、実はみんなが反対しない“安全地帯”の探り合いだったりするからね」彼は紙カップの中のコーヒーを怪訝そうな顔で飲みほした。「というか、サードウェーブコーヒーってこんなに酸っぱいの?」僕は曖昧に返事をして、話の続きを待った。「で、話は戻るけど、そうした会議にも1つだけ大きなメリットがあるわけよ。それは、そのアイデアが失敗しても誰もケガしないってこと。だってみんなで出し合ったアイデアだから、責任は誰にもないってことになる。よくできてるよね、このシステム」Aは自分に言い聞かせるようにひと通り話し終えると、店を出る準備を始めた。「さあ、外でタクシーを捕まえようぜ」2016.11.07 10:00
真夜中の古着屋「FIFTH GENERAL STORE」「“ていねいな暮らし”とか、マジで言ってんのかなって思うよね」時刻は夜の10時を回っていた。中目黒にある古着屋「FIFTH GENERAL STORE」を訪れた僕は、書籍棚で見つけた Larry Clark の写真集を見ながら、オーナーの高田さんと少しだけ話し込んでいた。高田さんは閉店の準備をしながら「別にいいんじゃない。それもファッションなんだから」と興味なく答えた。2016.03.30 10:00
渋谷・並木橋のサンドイッチ屋「BUY ME STAND」 | 02ヤバいところに来てしまった。さらに運の悪いことに、僕がその場所に着いたときは、それまで晴れていた空には分厚い雲がかかり、雨がぽつぽつと降り始めていた。(前編はコチラから)並木橋のサンドイッチ屋「BUY ME STAND」の店長にもらった1枚の名刺。それを頼りにここまで来たが、まさか“こんな場所”だったとはまったく想像もしてなかった。2016.03.10 10:00
渋谷・並木橋のサンドイッチ屋「BUY ME STAND」|01「あれは世界一のサンドイッチだ」そう話してくれたのは、某ライフスタイル誌で編集長を務める50代の男。彼の話では、渋谷の並木橋近くにビンテージマンションを改装した「世界一のサンドイッチ屋」があるという。彼との打ち合せが終わったあと、僕はそのまま並木橋へ向かった。彼がいう「世界一」を自分の目でも確かめてみようと思った。これでもし普通のサンドイッチ、もしくは少しうまいぐらいのサンドイッチだとしたら?それは、彼の人生がその程度だということだ。2016.03.01 10:00
中目黒のカセットテープ屋「waltz」 | 02「ここを取材したい。いいかな?」「取材? いいよ、時間ならいくらでもあるから」(前編はコチラから)偶然入った中目黒にあるカセットテープ屋「Waltz」。平日ということもあってか、店内に他の客は誰もいなかった。僕はいつもの取材のようにiPhoneを取り出し、音声メモの録音ボタンを押した。「この店はいつからあるの?」「オープンしてまだ半年ぐらいかな」「その前って、何をしていたの?」「Amazonという会社にいた。14年間働いたあと退職して、去年この店をつくった」2016.02.08 12:00
中目黒のカセットテープ屋「waltz」 | 01その日の取材はクソだった。それでもライターとして金をもらっている以上、必要最低限の仕事をこなしながら、いつものように「お疲れ様でした」と深々と多くの人に頭を下げた。取材で訪れた中目黒のハウススタジオを出た後、僕は駅まで歩いて帰ることにした。中目黒の駅までは歩いて約15分。地元の人以外ほとんど足を踏み入れることのない静かな住宅街を歩いていると、緑地公園の側に少し変わった“ある店”を見つけた。2016.01.31 08:00