音楽、映像、アート……トータルな表現としての「KANDYTOWN」part2 前編

(上段YOUNG JUJU、下段左からIO、MUD、MIKI)


『音楽が1 金はその次 音で埋める距離 You Know About This』—YOUNG JUJUが「The Man Who Knew too much」で歌うこのラインが、KANDYTOWNのスタンスを明確に表している。「音楽が一番」というアーティストは決して少なくないが、彼らはまさに音楽漬けだった。そんなとき、盟友オカモトレイジ(OKAMOTO’S)が彼らにメジャーレーベル、ワーナーでのアルバムリリース話を持ちかける。

YOUNG JUJU レイジくんは「いきなりレコード会社の人に会って話してもびっくりするだろうから間に入ろうか」って言ってくれて。俺らはレイジくんのこと信頼してるから「ぜひ!」って感じでした。音楽面でのディレクションというより、運営面での、俺たちと企業の通訳みたいなことをしてくれてましたね。俺らはワーナーの言ってることが理解できないこともあるので(笑)、それを優しく収めてくれてました。「あとは決めるだけ」っていう最高のパスをもらった感じですね。

(DIAN)


KANDYTOWNっぽい感じの
完成形となるトラック


メジャーレーベルの酸いも甘いも嚙み分けたオカモトレイジが運営面をフォローすると、制作面では日本の音楽シーンを代表するエンジニア、illicit Tsuboiがサポートした。KANDYTOWNは自分たちの持ち味を存分に発揮できる環境を手に入れたのである。

MIKI むっちゃやりやすかったっす。ツボイさんは俺らの気持ちを汲んでくれたというか、俺らが理想とするものを作る手助けをしてくれたと思う。ツボイさんのスキルが目立つアルバムじゃなくて、ちゃんと俺らの良いところを引き出そうとしてくれてる感じがしました。

illicit Tsuboiといえば音の強弱のバランスを意図的に変化させて、ミュージシャンたちが予想できなかった楽曲の側面を引き出すことでも知られているマスターだ。だが今回は……。

YOUNG JUJU ツボイさんがエンジニアリングしてくれたもので、すごくイメージが変わった曲って「Get Light」くらいじゃない?

Neetz そうだね、「Get Light」はツボイさんのミックスで変わった。音の数が増えたように聴こえるけど、実はもともと後ろの方で小さく鳴ってた音をツボイさんが拾って、すごく大きくしてくれたんです。

YOUNG JUJU がっつり変わってはいないんだけどね。

MIKI ツボイさんがいろいろ提案してくれたから、俺らの感じとうまいこと折り合いが付いてる。

Neetz 今回の作品では音の選び方や鳴りも含めて、今まであった曲よりもクオリティをアップデートしたトラックを作ろうということが自分のなかで意識があったんです。個人的にはKANDYTOWNっぽい感じの完成形となるトラックを作りたかった。実際、かなり満足できる内容になりました。

MIKI 俺が作ったトラックがKANDYTOWN名義で出るのは今回が初なんです。でも制作はすごくスムーズでしたね。俺は単純に自分が満足できるところまでトラックが作れてたし、自分がトラックに対して感じたニュアンスと、ラッパーがトラックに対して感じたニュアンスが良い感じにミックスしていることが理想なんです。今回はそういうバランスもとれてて、何もストレスを感じずに最後のマスタリングまでいけたかなと思う。

(Neetz)


聴くと自分の原点に

帰れるアルバム


「KANDYTOWNっぽい感じの完成形となるトラックを作りたかった」とNeetzが語る通り、アルバム「KANDYTOWN」はこれまで発表してきた「KOLD TAPE」「BLAKK MOTEL」「Kruise」という3作品にあったヒップホップのザラついたかっこ良さを残しつつ、ひとつひとつの音のクオリティを高めた作品だ。クリアでありながらダーティという絶妙なバランスが保たれている。

DIAN 1曲1曲を録ってるときは「これ、どういう感じになるのかな?」って感覚があったんですけど、アルバムとして完成したものを聴くと作品としてまとまっていたので安心しましたね。

Neetz うん。できあがった直後は正直「どうなのかな?」って思った。でも、ある程度落ち着いてから聴くとバランスの良い作品になったと思ってます。ドープなやつもあるし、ちょっと気軽に聴けるやつもあるし。

MUD いつも通りのことをしただけなんですけど、1stアルバムっぽい感じになったと思います。真ん中っていうか。次はもっとダーティな感じにやりたいと思ってます。制作ってその繰り返しだと思うんで。ひとつできたら、また違う感じのものが作りたくなる。そういう欲が出てくる。今回のアルバムはいい意味で真ん中っぽい作品ですね。

Minnesotah 俺はDJだから、トラックのネタ選びとかはしたけど楽曲制作に思いっきり携わるってことはなかったんです。でもスタジオにレコーディングの様子を見に行ったりして感じたのは、これまでの制作と比べてみんなの意識がひとつにまとまってたなってことですね。

MIKI Minnesotahは「Rap City」でスクラッチしてるんですけど、俺の理想とする感じまで持ってってくれましたね。

(※「Rap City」は、初回限定盤付属のボーナスディスク限定収録曲)

YOUNG JUJU 「Rap City」は俺ら世代であんな感じの曲やれちゃう人はいないと思うんで、かなり抜けた感じの曲になったと思います。とは言え、俺からすると昔からの仲間の曲に、良いも悪いもないっていうか。善し悪しの判断がつかないんですよ。俺はできたのを聴いても良いとしか思えない。東京じゃない場所でこのアルバムを聴くと落ち着くんです。俺はクオリティ云々より、みんなと一緒にこうやって1枚のアルバムが作れたことがとにかくうれしい。聴くと自分の原点に帰れるアルバムです。自分の原点はここなんだって確認できるというか。みんながどう思ってるかはわかんないけど、俺はやれて本当に良かったです。

IO どういうアルバムかは聴いてくれる人が判断してくれればいいと思ってます。ちなみに俺のお気に入りの2曲は、「Amazing(Interlude)」と「My Business」ですね。

YOUNG JUJU 「My Business」はアルバムに入ってないやつだよ!

(※「My Business」は、TSUTAYA購入者の特典CDに収録)

(Minnesotah)


俺はYUSHIにかっこいいと
思われたくて作ってる


今回のアルバムからはソウルやファンク、ディスコ、ワールドミュージックなどさまざまな音楽からの影響が感じ取れるが、そのなかでも一貫したトーンを感じる。アルバムの骨組みを作ったというビートメーカーのふたりに話を振ると……。

MIKI そうですか? トラックの統一感とかは全然意識してないですね。俺は自分でNeetzの作るトラックとは全然タイプが違うと思ってましたね。

Neetz 俺もあまり意識はしてないですね。曲を作るときは、音楽を聴いてインスピレーションが来るのを待つ感じです。いいなと思ったら自分なりにやってみる。

MIKI 俺はYUSHIにかっこいいと思われたくて作ってるかな。19くらいのときに俺はサンフランシスコに留学してたんですけど、そのときに一緒に住んでたYUSHIと作ったのが2曲目の「R.T.N」なんです。当時、俺はBANKROLLにビートを提供したかったんですよ。それでこの曲を作ったんです。

KANDYTOWNは、YUSHIやIOらのBANKROLLと、YOUNG JUJUやGOTTZ、MIKIらによるYaBastaなどのメンバーで構成されている。前回のインタビューで「18くらいの頃、友達が同い年のDONY JOINTを紹介してくれて。そのとき、どこにも出てないBANKROLLのCDをもらったんです。そのCDが超かっこよくて聴きまくってたから、BANKROLLにはすごく憧れてた」とGOTTZが語っていた。

MIKI 俺はYUSHIと高校の頃から知り合いなんですけど、卒業後にニューヨークに留学したんです。そしたらYUSHIがサンフランシスコに来るっていうんで、俺はニューヨークからサンフランシスコに行ったんです。そのときYUSHIと一緒に作って、当時はこの曲でPVも撮ろうって話してたんですよ。結局実現しなかったんだけど。でも、今回のタイミングでようやく「R.T.N」のPVを作れることになったんです。


<続きはこちら>


photography : Nae. Jay E.

【INFORMATION】

KANDYTOWN 5CITY TOUR POWERED BY CARHARTT WIP

前売り¥3,000/当日¥3,500(※オールスタンディング・ドリンクオーダー別)

11/1(火)@東京・SOUND MUSEUM VISION

11/18(金)@福岡・graf

11/19(土)@広島・BACK BEAT

11/22(火)@大阪・心斎橋SUNHALL

11/23(水・祝)@名古屋・club JB'S

■チケット一般販売

販売期間:発売中


プレイガイド情報:

ローソンチケット:http://l-tike.com/(Lコード:72484)


チケットぴあ: http://t.pia.jp/(Pコード:312-775)


イープラス:http://eplus.jp
※枚数制限4枚
※一般販売分には未発表音源CDは付きません。

■未発表音源CD付き前売りチケット限定追加販売

販売開始日:10月22日(土)


取扱い店舗:東京 :Carhartt WIP Store Tokyo


      名古屋:Carhartt WIP Store Nagoya


      大阪 :Carhartt WIP Store Osaka


      広島 :HYBRYDS


      福岡 :Carhartt WIP Store Fukuoka


      Carhartt WIP Store info:http://www.carhartt-wip.jp/stores/


      HYBRYDS official blog:http://hybryds.blog.so-net.ne.jp/


チケット価格:¥3,000


注意事項:※各店舗への問い合わせはお控えください。


     ※各店舗取り扱い枚数に限りがございます。  

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