(左からKIKUMARU、BSC、GOTTZ、Ryofu)
KANDYTOWNがワーナーミュージックジャパンから1stアルバム「KANDYTOWN」をリリースする。彼らがシーンに登場したのは今から2年前の2014年。フリーのミックステープ「KOLD TAPE」をネット上に発表。90’sヒップホップを彷彿とさせる、彼らのクールなヒップホップはすぐにシーンから喝采された。その話題も冷めやらぬ2015年初頭には、STREET ALBUM「BLAKK MOTEL」を発売。こちらは即完売してしまい、某中古CDショップでは現在も数万円で取引されている。
BSC そんな価格でも欲しいと思ってくれてる人がいるっていうのが俺らにとっては重要。
KIKUMARU 出す前は話題になるとも思ってなかったよね。「BLAKK MOTEL」だって、売れないと思ったから限定で出したんすよ。
BSC 言ってしまえば寄せ集めだからね(笑)。「Kruise」は意識的に作ったけど、「KOLD TAPE」と「BLAKK MOTEL」はもともとあった曲を入れただけで。でもそんな作品でも欲しいと思ってくれる人がいるってことは、俺らが今までやってきたことが無駄じゃなかったってことだから、それはすごくうれしい。
KIKUMARU 俺らは全員とにかく制作意欲がハンパないんですよ。会ったら「作ろうぜ!」みたいな(笑)。その制作過程で散々トラック聴いて、歌詞書いて、ラップするから、レコーディングが終わるとそれで満足しちゃう。
BSC 作品を出す以前に、曲が完成した時点で俺らのなかでは完結してた。
RYOHU だから未発表曲は本当にいっぱいある。そういう曲のことは何も覚えてないけど。
KIKUMARU 本当にその時々のノリで作ったやつだからね。そんな感じでめちゃめちゃ曲が溜まってたから、それをフリーで出す分と売る分で振り分けてできたのが「KOLD TAPE」と「BLAKK MOTEL」っすね。
(Ryofu)
曲を作ることが
KANDYTOWNの遊び方
BSC 俺らにとって地元で遊ぶことは、曲作りをすることなんです。俺はBANKROLL(YUSHI、IO、Ryohu、BSC、Dony Joint、MASATOが所属するクルー)ってグループもやってたり。
KIKUMARU 俺は中学生の時にYUSHIの影響でラップを始めたんですよ。Ryohuとは当時YUSHIの家で会いました。中学の卒業式のときに、YUSHIが「みんなで一緒にラップしようぜ」とか誘ってくれたな。
GOTTZ 俺、MIKI、DIAN、YOUNG JUJUは経堂で地元が違うんですけど、JUJUだけは喜多見のYUSHIくんたちと繋がってたんです。
KIKUMARU JUJUは俺の妹と幼馴染みで。KANDYTOWNのメンバーは大体みんな幼馴染みなんですよ。YUSHIやMASATOとは幼稚園から一緒だし、Neetzとは同じサッカーチームだった。他のメンバーも兄弟が同級生同士で繋がってたり。
GOTTZ 18くらいの頃、地元の友達が同い年のDony Jointを紹介してくれて、その時にどこにも出てないBANKROLLのCDをもらったんです。そのCDが超かっこよくて聴きまくってたから、BANKROLLにはすごく憧れてた。
BSC YaBasta(YOUNG JUJU、GOTTZ、HOLLY Q、MIKI、WEELOWが所属するクルー)と知り合ったのは最近だけど、ライブで一緒になったこともあったし、すぐに仲良くなれた。
Ryohu YaBastaとはライブで何度も一緒になってたし、ライブによってはBANKROLLのだれかとYaBastaのだれかがやってることもあった。KIKUMARUもいつも一緒にいた。そんな感じでみんなが徐々に混じってくると、俺ら自身も、だれがどこに所属してるかを把握できなくなってきちゃったから「じゃあ名前を付けちゃおう」ってなって、KANDYTOWNになったんです。
(GOTTZ)
ヒップホップのリアルと
同居するロマンティック
「BLAKK MOTEL」がストリートを賑わせていた2015年2月、YUSHIは急逝してしまう。彼はKANDYTOWNを語るうえで欠かすことのできない存在だ。メンバーは彼のことを「今の時代にはいないタイプの人」と口をそろえる。カリスマ的で型破りな人物であったことは間違いないだろうが、今回の取材ではまた違ったYUSHIの一面を知ることができた。
GOTTZ YUSHIくんと出会ったのは成人式のとき。俺は年下だったけど、なぜかみんなの晴れ姿を観に区役所に行ってたんですよ(笑)。そこにBANKROLLもいて、YUSHIくんと仲良くなりました。BANKROLLは基本的に硬派なんで、外と群れないんですよ。そこをYUSHIくんが繋げてくれましたね。いきなりYUSHIくんから電話がかかってきて「今からMUDってやつの家に行こうぜ」とか。もちろん、MUDとはそこで「初めまして」。あとYUSHIくんに誘われて、みんなで一緒に八王子の超怖い心霊スポットに行ってフリースタイルしたりもした(笑)。
Ryohu KANDYTOWNのメンバーはみんなそれぞれ学校とか幼稚園とかで緩く繋がってたんだけど、そういうのをあいつが自らハブになって繋げてくれた。「今日、GOTTZってやつが家に来るんだ」みたいな。今KANDYTOWNがこのメンバーでこうなってるのは間違いなくYUSHIがいたから。
KANDYTOWNのリリックにしばしば登場する「ロマンティック」というワード。しかしリアルであることを旨とするヒップホップではなかなかレアなボキャブラリーだ。ロマンティックとリアル。一見すると反語のような気もするが、これに関するKIKUMARUの答えがかなり興味深いものだった。
KIKUMARU YUSHIは言うこともやることもとにかくかっこいいんです。それでだれよりもロマンティストだった。あいつは「かっこよく見せてる」っていうより「かっこよく見える」。何をしててもかっこいい。服も俺らじゃ絶対着られないようなのをかっこよく着ちゃう。中学生の頃、俺はまだ普通の格好だったけど、あいつはドゥーラグ巻いて、ダボダボの服着てて、ハンパじゃねえ(笑)。俺に関して言えば、そういうYUSHIに近付こうとしてたところはあったかもしれない。その感覚があったからこそ、少なくとも俺はヒップホップのリアルとロマンティックが同居できたんじゃないかな。
(上段左からRyofu、BSC、下段左からKIKUMARU、GOTTZ)
#尊敬と感謝
ところで、本作のディレクターを務めたオカモトレイジ(OKAMOTO’S)は自身のInstagramでKANDYTOWNに関するポストをするとき、「#尊敬と感謝」というタグを添える。これはなんなのだろうか?
BSC 「尊敬と感謝」はYUSHIの曲で、俺らのクラシックなんです。
KIKUMARU MTRで録った時代の曲で、KANDYTOWNの代表曲でもある。
GOTTZ レイジくんが好きでその曲をDJでかけたりするんです。90年代の日本語ラップクラシックの後にかかったりすると、俺らはみんなブチ上がりますね(笑)。
Ryohu 音源化する予定はないですけど……。
BSC 俺らのなかではクラシックだけど、別に世に出さなくてもいいかなって曲もいっぱいあって。「尊敬と感謝」はそういうなかのひとつなんですよ。
KANDYTOWNの音は、彼らにとっての共通言語なのだ。地元で遊んでるときに仲間内で盛り上がるネタなんて、だれしもひとつやふたつ持っていると思うが、KANDYTOWNの音楽はまさにそれにあたる。彼らは不良でもなく、ファッショニスタでもなく、音楽が純粋に大好きで、かっこいい音楽を作ることが一番かっこいい。KANDYTOWNはそういう連中なのだ。
photography : Nae. Jay E.
撮影協力:BUY ME STAND
【INFORMATION】
KANDYTOWN 5CITY TOUR POWERED BY CARHARTT WIP
前売り¥3,000/当日¥3,500(※オールスタンディング・ドリンクオーダー別)
11/1(火)@東京・SOUND MUSEUM VISION
11/18(金)@福岡・graf
11/19(土)@広島・BACK BEAT
11/22(火)@大阪・心斎橋SUNHALL
11/23(水・祝)@名古屋・club JB'S
■チケット一般販売
販売期間:発売中
プレイガイド情報:
ローソンチケット:http://l-tike.com/(Lコード:72484)
チケットぴあ: http://t.pia.jp/(Pコード:312-775)
イープラス:http://eplus.jp ※枚数制限4枚 ※一般販売分には未発表音源CDは付きません。
■未発表音源CD付き前売りチケット限定追加販売
販売開始日:10月22日(土)
取扱い店舗:東京 :Carhartt WIP Store Tokyo
名古屋:Carhartt WIP Store Nagoya
大阪 :Carhartt WIP Store Osaka
広島 :HYBRYDS
福岡 :Carhartt WIP Store Fukuoka
Carhartt WIP Store info:http://www.carhartt-wip.jp/stores/
HYBRYDS official blog:http://hybryds.blog.so-net.ne.jp/
チケット価格:¥3,000
注意事項:※各店舗への問い合わせはお控えください。
※各店舗取り扱い枚数に限りがございます。
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