留守中のペットたちは、一体何をしているのか?| 02

「留守中のペットたちは、何をしているんだろう?」というシンプルな疑問をもとに、あの“ミニオン”たちを生み出したイルミネーション・エンターテインメントとユニバーサル・スタジオが手掛けたアニメーション映画、その名も『ペット』については先週お伝えしたとおり。

今日はクリス・ルノー監督のインタビュー後編をお届けする。実は監督、あのマーヴェルとDCコミックス両方で働いていたらしい。世界中の男子が夢見るような経歴だ。その辺も含め、アニメーション映画を手掛けることになるまでのリアルな道のりなどを詳しく語ってもらった。


『ペット』は8月に日本上陸する。インタビュー前編はこちら

─1994年から2000年までマーヴェルとDCコミックスで働いていたとのことですが、どのような仕事をされていたのですか?


ペンシルアーティストとして働いていた。つまり、コミックを描いていたんだ。僕が鉛筆で描いた画を別のアーティストがインクでなぞるんだよ。それにDCコミックスでは、「バットマン」のライターも務めていた。


─2社の作品の中で、特に思い入れのあるキャラクターはいますか?


圧倒的に1番好きなのはバットマン。マーヴェルでは、子どものころはスパイダーマンが大好きだった。多くの人がそう言うかもしれないけど、映画版だったらアイアンマンが好きだな。映画のアイアンマンは最高のキャラだよね。


でも、お気に入りは断然バットマンだ。フランク・ミラーによる「ダークナイト・リターンズ」という有名なコミックを読んだことが、この仕事を目指すきっかけになった。僕はコミックブックアーティストになりたくてニューヨークに引越したんだよ。信じられないかもしれないけど、マーヴェルは90年代に倒産したんだ。今となっては噓みたいだよね(笑)。それを機に他の仕事を探して、テレビ制作の世界に導かれた。


─そこからどのような経緯でアニメーション映画の監督になったのですか?


当時の僕はニューヨークで子ども番組「セサミ・ストリート」を制作していた。そこで力をつけて、その後、パペットを扱うプロデューサーの下で仕事をしたんだ。実は日本の文楽の手法を使って、ディズニー・チャンネル用に「くまのプーさん」の人形劇を制作したんだよ。その番組ではセットをデザインしたりするプロダクションデザイナーを務めた。キャラクターは実写のパペットなんだけど、背景は全てヴァーチャルだったから、あの作品で初めてデジタルの映画制作に触れることになった。僕はデザイナーであり、テクスチャーペインターであり、いろんなことを兼任したよ(笑)。

その番組が終わって次は何をしようかと探していた時に、『アイス・エイジ』シリーズを手掛けるブルースカイ・スタジオにポートフォリオを送ってみたんだ。テレビCMとかで経験があったから、ストーリーボードアーティストとして採用された。それで『アイス・エイジ2』と『ロボッツ』を担当したんだ。ブルースカイには4年ほど勤めたんだけど、その間に「No Time for Nuts」という短編アニメーションを企画して、共同監督と脚本を務めた。あの作品がある意味、僕にとっての監督業のはじまりだね。

それから程なくしてブルースカイを退社し、イルミネーション・エンタテインメント/ユニバーサル・スタジオに移籍して、ピエール・コフィンと『怪盗グルーの月泥棒 3D』を共同監督したんだ。そんな感じだよ。良いタイミングで良い場所に居たし、自分に与えられた機会を最大限に活用したわけだけど、自分はここへたどり着けてとても幸運だったと思っている。


─アニメーション映画の監督として、ご自身の1番の強みは何だと思いますか?


ぶっちゃけて話すと、僕の1番の強みは、自分のアイデアよりも良いアイデアを認識する能力だと思うよ(笑)。もちろん、特定のアイデアを主張したい時には、自分の信念を守ることも大切だけどね。


あとはみんなをマネージメントするのも得意かもしれない。200人以上のチームをまとめる立場にいると、どんなにたくさんの変更が生じても、メンバーをインスパイアし続け、モチベーションを保つ必要があるんだ。アニメーションの世界は常に変更の繰り返しだからね。


それに、みんなから良いアイデアを引き出す必要もある。それって時に微妙なことでもあって、「何で自分では思いつかなかったんだろう?」ってエゴが傷つくこともある。でも、200人ものスタッフがコラボレートしているんだから、そこら中から良いアイデアが出てきて当然なんだよね。だから、いろいろなアイデアを起用して、みんなの考えをまとめる必要があるんだよ。アニメーションはコラボレーションが必要な芸術形態だ。制作には数年かかり、常にいろんなことが変わっていくから、決断する時やチームをまとめる時には柔軟性が必要なんだ。


個人的には、自分には良いユーモアのセンスがあり、何がウケるか分かっていると信じたいね(笑)。とはいえ、映画制作の経験者には共感してもらえると思うけど、自分が笑えると思っても観客にはウケない場合もあるんだ(笑)。良いアイデアを認識するのも大事だけど、悪いアイデアに気づく能力も必要なんだよ。たとえ自分のジョークでも、ウケなかったら自分から「OK、先に進もう」って言うようにしている(笑)。自分のアイデアだからって、死守していてはダメなんだ。


─日本のアニメーションやコミックで好きな作品やキャラクターはありますか?


僕が初めて観た邦画で絶対に忘れられない作品は『AKIRA』だよ。学校の友だちがボロボロのビデオテープで見せてくれたんだ。本当にアメイジングな作品だった。今でも冒頭のバイクのチェイスシーンが浮かぶよ。でも、吹替も字幕もなかったから、内容はさっぱり理解できなかったけどね(笑)。僕は純粋にビジュアルとして楽しんだんだ。あの作品は初期の僕にとって間違いなくインスピレーションとなり、今でも記憶に残っているんだ。


それに僕は自分に子どもができる前から、テレビで「ポケモン」のアニメを観ていたんだ。経済的な面で学ぶものが多かったんだよね。キャラクターがいて、動いているのは背景だけって最高だと思った。もちろん、たくさんの人に愛されているのもすごいことだけど、あんなにダイナミックなことをシンプルにやってのけていることに感心した。


制約によって良い作品が生まれることがあるけれど、「ポケモン」はその良い例だと思う。スケジュールにしろ、予算にしろ、「ヘイ、俺たちにあるのはこれだけだから、これで何とかしよう」って状況で成功したんじゃないかな。シンプルで人目を引くグラフィックスタイルが受け入れられたのだと思う。世界中の子どもたちに愛されているんだからね(笑)。


─観客には『ペット』を観て、どんなことを感じ取ってほしいですか?


自分たちのペットも作品の一部だと感じられるような体験をしてほしい。「うちの犬もああいうことするな、もしかしたら留守中に冒険に出ているのかもな」っていう具合にね。映画を観て、笑って、共感して、モルモットだろうが犬だろうが猫だろうが、自分や友だちが飼っているペット目線の世界観を感じ取ってほしい。劇中のペットたちの行動や態度に見覚えを感じてもらって、楽しんでもらえたらうれしいね。


『ペット』

製作:クリス・メレダンドリ、ジャネット・ヒーリー

監督:クリス・ルノー、ヤロー・チェイニー

脚本:ブライアン・リンチ、シンコ・ポール、ケン・ドーリオ

原題:The Secret Life of Pets/全米公開7月8日(予定)

配給:東宝東和

©Universal Studios.

8月11日(木・祝)全国公開


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