では、改めて2017年を代表する女優でもあり、ポップ・シンガーでもあるヘイリー・スタインフェルドについて、これまで触れてこなかったことを少しだけ。これまでのパート①とパート②を未読の方は以下のリンクから読んで下さい。もしかすると、このパート③でざっくりと彼女の輪郭をクリアにしてから読んでいただいてもいいかもしれません。
すっかり忘れていましたが、欧米のポップ・シーンにおいて彼女の存在がより意識されるようになったきっかけは、テイラー・スウィフトの「ずっ友軍団」=スウィフト・スクワッドの一員としてでした。
Hailee Steinfeld Talks Taylor Swift's Bad Blood Video
ただその後、うっかり「テイラーとはそれほど親しくはない」という、女王の面目を丸潰しにしてしまう発言をするなど、なかなかの豪傑なのです、ヘイリー・スタインフェルドは。
そうした肝の強さはおそらく弱冠14歳にして、2010年のコーエン兄弟映画『トゥルー・グリッド』に出演、いきなりアカデミー助演女優賞にノミネートされて以来の経験がモノを言ったのかもしれません。今から6年前の当時の彼女の姿がこれです。すでに大物の風格。
アカデミー賞候補の14歳新人女優、授賞スピーチを考えるのはこれから
トゥルー・グリット キャストコメント入り
そして、彼女自身の本格的な主演作品が『スウィート17モンスター』です。原題は『edge of seventeen』。勿論これはイーグルスと並び、70年代を代表するバンド、フリートウッド・マックの歌姫スティーヴィ・ニックス81年の大ヒット曲に倣ったタイトル。
Stevie Nicks / Edge Of Seventeen
ここ日本でも4月後半から公開されます。日本向けにローカライズされた字幕翻訳や宣伝コピーがちょっと違うんだよなーと思わないでもないですが、これは間違いなく走り出そうとする度に転んで膝を擦りむいてしまう成長の痛みと苦い青春を描いたティーンネイジ・コメディの傑作。二種類ほどトレイラーを貼っておきましょう。これだけでもかなり最高です。とにかくヘイリーの演技。笑って泣けます。
『スウィート17モンスター』
では、改めて、ヘイリー・スタインフェルド本人の肉声をどうぞ。先ほどの映画『スウィート17モンスター』でのコロコロと変わる表情と物怖じしない態度を、もう少し礼儀正しく、大人びたムードに置き換えてもらいつつ、それを思い浮かべながら読んでいただけたりすると、現場での雰囲気が想像していただけるかもしれません。とにかくマチュアー&キュートな人でした。
ー実は、自分の娘より若いアーティストのインタビューをするのは初めてなんです。
「本当に?! 嬉しいわ(笑)」
ー僕はあなたのご両親と多分同じ世代なんじゃないかな。
「えっと……、確かごじゅう…に…だったかしら」
ーあなたは確かこれまでも何度か、ご両親と一緒にイーグルスのライヴに行ったことがあるんだよね。かなり小さい子供の頃から。
「イーグルスを聴いて育ったの。彼らの曲を聴くと、必ず家族旅行の思い出が蘇るの。子供の頃からずっと聴いてたから。一番最近だとロサンゼルスのフォーラムで観たはず。確か1年か1年半前に見に行ったかしら」
ー子供時代はイーグルスだけじゃなく、いろんな音楽が鳴っている家庭に育った?
「ええ、そうよ。母親のある引き出しにとにかく色んな音楽のCDがしまってあったの。今でも覚えてる。母親はCDを綺麗に整頓して入れてあるから、私と兄は勝手に引き出しを開けていじっちゃいけなかったの。でも私はいつもその引き出しに行って、CDのジャケットを眺めていたわ。アーティストが誰かも知らなかったし、どんな音楽なのかも知らなかった。私は部屋に大きなブームボックス(ラジオ付きCDプレーヤ)を持ってたから、ある時その中から1枚とって、かけてみたの。たまたまそれがAC/DCだったの」
ーその時の感想は?
「私はまだ9歳か10歳だったから、『ひえ~、ちょっとこれは無理』って思った(笑)。でも、その後からすごく好きになったの。あの引き出しがあったからこそ、時代を超える名作と言われる音楽に対する理解が深まったと思う。で、すごく面白いと思うのが、今は、昔と比べて、サウンドも大幅に変わったし、音楽を作るのだって、コンピュータが一台あれば作ることだって出来る。それは凄いことだと思うの。目を見張るものがある。でも、同時に、色褪せることのない名作を聞きながら育ったという背景があるのもすごくよかったと思う」
ーあなたって14歳の時から俳優をやっているから、家族と暮らす時間帯や同世代の友達と暮らす時間よりも、他の大人に囲まれてた時間の方が長かったんじゃないですか?
「私の場合、ちょうどいいバランスだったと思う。兄がいてくれて、親友のような存在だったし、学校にはいつも行けたわけじゃないけど、学校の友達とは繋がっていた。いろいろな場所に行かなきゃいけなくても、友達とは連絡を取り続けていたし。でも、確かに大人に囲まれながら、仕事をする時間はものすごく多かった。改めて見てみると、大人の俳優相手に共演した映画と、同年代の俳優と共演した映画の数を比較してみると、ものすごく偏ってるの。クレイジーでしょ(笑)。いつも『撮影現場で友達ができる!』って張り切って臨むわけなんだけど、次の日行ってみると、『みんな親の歳の人ばかり……』ってことが多かった。それはそれで最高なんだけど。ちょうどぴったりのバンランスだったと思う」
ーお兄さんが一番仲良かったってことからすると、女優としてのあなたの最新作でもあり、主演作『スウィート17モンスター』とはかなり設定が近かったりする?
「う~ん、必ずしも一緒ではないわ。いい意味でよ。『スウィート17モンスター』での私の役柄は、兄を疎ましく思っている部分もあるの。彼はイケメンで、成績優秀で、要領もよくて、みんなに好かれているから。私の実の兄も同じだけど、だからって私は彼を嫌ってなんかいない。私が演じる役は、兄に嫉妬していて、彼のように自分もなるにはどうしたらいいかわからなくて悩んでしまうの。彼があまりにみんなに好かれているから。でも、私と兄の関係は、お互いのことが大好きだし、仲もすごくいい。私は彼を最高だって思っている。という違いがあるの」
Hailee Steinfeld / Love Yourself (cover)
ーご両親と一緒じゃなくて、あなたがお兄さんと最初に行ったライヴがドレイクなんだよね?
「そう!そうなの。〈Cali Christmasツアー〉でね。ロサンゼルスで見に行ったの。とにかくいろんなアーティストが出演してた。リル・ウェイン、ウィズ・カリファ、ニッキ・ミナージュも出てて、『もうなんだか凄すぎてわけわかんない! ママ、パパ、どこにいるの?』って思ったライヴだった。とにかく最高だった。ドレイクは大好きよ。兄と一緒に行ったのも楽しかった。二人とも大ファンだから」
ーあなたがドレイクの音楽に猛烈にコネクトした一番の理由は?
「彼の音楽はこれまでもすごく変わったと思うんだけど、『彼がどれだけ多くのすごくいい曲を世に出したか?』って考えただけであり得ないって思わない? 新作の『ヴューズ』も本当に大好き。もうあのアルバムばかりを聴いてた。で、最近になって昔のspotifyのプレイリストを引っ張り出してきたら、そこには昔のドレイクの曲がたくさん入ってて」
ー確か『テイク・ケア』の頃から、ドレイクのファンなんですよね?
「だって、とにかく曲がものすごくいいから。あと、本人とも会う機会があったんだけど、ものすごくいい人で、彼は自分がやっていることを心から楽しんで、好きでやっているというのが伝わってくる。そういう部分を知ると、その人もその人の音楽も全部ますます好きになっちゃう」
ー彼の曲って、昔のガールフレンドに対する未練をモチーフにした曲がすごく多いじゃない。彼のナラティヴのスタイルというのはあなたからするとどんな風に映るのか、教えて下さい。
「でも、私も共感できたりするの。すごく彼には魅力を感じちゃうのよね。不思議なんだけど。彼の歌詞を聴いて、『すごい。何で自分もこんな表現を思いつかなかったんだろう』と思うことがたくさんある。彼は個人的な経験について綴っているのかもしれないけど、歌のテーマはすごく普遍的なものだから」
Hailee Steinfeld / Starving (Dick Clark’s New Year’s Rockin Eve 2017)
ー一聴すれば、あなたのデビュー曲“ラヴ・マイセルフ”というのは壊れてしまったリレーションシップ、別れてしまったボーイフレンドについての曲ですよね?
「そうね。でも、私自身はこの曲をセルフエンパワーメント・アンセムーー自分自身に力を与える曲だと思ってる。別れや失恋についての曲ではなくてね。自分は最高で、美しいんだって思わせてくれる曲。だって、みんなそう思うべきだから(笑)。ただ、リリースした後、多くのファンから言われたの。『この曲のおかげで失恋を乗り越えることが出来た』って。すごく腑に落ちたの。この曲はうまくいかない日、気持ちが落ち込んだ時、いやなことがあった時に、そこから救ってくれる歌でもある。そんな曲なんだってことがわかったの」
ーただこの曲は自分自身に力を与える曲であると同時に、この曲のリリックはセクシーなニュアンスに置き換えられることも出来る。実際、あなたは多くのメディアから「これはマスターベーションについての曲なのか、どうか?」を尋ねられることになったわけですよね。そもそもこの曲を歌う不安みたいなものはありませんでしたか?
「どんなアートフォームにも言えることだけど、作品として世に出た以上、それは受け取る側が好きに解釈すればいいと思う。でも、あの曲はそもそも『自分で自分を満たすことが自分自身にとってどれだけ力になるか?』についての歌なの。それが肉体的だろうと、感情の部分だろうと、物質的な部分においてだろうと、自分を愛することで、ものすごいパワーが得られることについて歌っている。私はそれをみんな気付くべきだと思うの。特に若い女性はね。私自身、今でも常に自分に言い聞かせなきゃいけないことだって思ってる。でも、一度そこに気づいて、それが理解できたら、すべてが一変するのよ!」
Hailee Steinfeld / Love Myself (Acoustic)
ーええ(笑)。ケンドリック・ラマーの“i”のフックも、あなたの“ラヴ・マイセルフ”と同じく「I love myself」なんですね。あの曲は同胞である黒人に対するメッセージであり、社会的なアングルを持った曲だったわけだけど、あなたの曲の場合、特定のコミュニティに向けられていたり、何かしらの社会的なアングルはあるんでしょうか?
「あの曲はあらゆる人たちのための曲だと思っている。いかなる世代、いかなる人種だろうと、すべての人に向けた曲なの。メッセージとしては、自分の内なる力、内なる美しさに気づくことがどれだけの力を自分に与えてくれるかーーそれに尽きると思う。それって、人から教わるものじゃなくて、自分自身で自覚して、自分自身で学ばないといけないことでしょ。だからこそ、これはすべての人に向けた曲なの」
Hailee Steinfeld / Love Myself ~ Starving (Swedish Idol 2016)
ーじゃあ、あなたが夏前にしたツイートで、すごく好きなのがあるんだけど。
「そうなの?ありがとう」
ー「あなたには、君は綺麗だねって言ってくれる誰かなんて必要ない(you don't need anyone to tell you that you're beautiful)」って風にあなたはツイートしてて。どういう経験からこれをツイートしたのか覚えていますか?
「もちろん。たまに自分に言い聞かせるつもりでツイートして、それをファンとも共有するの(笑)。そのツイートに関して言うと、すごく気分が良くて、絶好調で、自分は綺麗だって思えて、頑張っておしゃれをしたけど、それを誰にも気づいてもらえないことってあるでしょ? 誰でも一度はあると思うんだけど。そういう経験に基づいてるの」
ーなるほど。
「でも、それってつまり、誰かのためにお洒落をしたってことでしょ? あのツイートをしたのは、お洒落っていうのは自分のためにするべきなんだってことに気付いた瞬間だったの。今日は綺麗だねって誰かに褒められるためにお洒落をするんじゃダメだって。人に言われなくても、自分は綺麗なんだって思えなきゃいけないって。それ以前だと、ボーイフレンドに今日の君は綺麗だって言って欲しかった、今日の髪型はいつもと違うねって気づいて欲しかった、そんな風に思う瞬間があったんだけど。でも、人から褒められることを追い求めちゃダメだって気づいたの」
ーつまり、自分自身の美しさというのは自分自身で定義するものなんだ、ってこと?
「そう。その通りだと思うわ」
Hailee Steinfeld, Grey ft. Zedd / Starving (Late Night With Seth Meyers)
ーこれまでの女優としての出演映画では他人が書いた脚本に沿って演じてきたわけだし、あなたの曲にもあなた以外のコ・ライターがいるわけだけど、このツイートに現れているような視点がこれからのあなた自身の表現のベーシックになっていくような予感はありますか?
「その通りだと思う。“ラヴ・マイセルフ”を1stシングルとして出したことが、私自身が世界に発信していきたいメッセージの方向付けになったと思う。時代が変われば、人も変わるし、経験することも変わる。だからこそ、この先、私自身も歌で伝えたいことも変わっていくと思う。でも今の段階では、あれが私が本当に感じていることだし、みんなにも感じて欲しいことなの」
ー今はフィメール・ポップ・シンガーの時代ですよね。彼女たちは当然いろんな人々に向けて語りかけているわけだけど、例えば、レディ・ガガは特に自分の中にあまり一般的じゃないユニークネスやフリークネスを持った人たちに語りかけている。ケイティ・ペリーだと、男性というよりはより同性に語りかけているところがある。そんなスペクトルがあった時に、あなた自身はどういった人々に語りかけているという実感がありますか?
「この前、メーガン・トレイナーと一緒にツアーをしたの。彼女のオーディエンスって、もう5、6歳の小さな子供から祖父母世代までがいた。しかもその場にいたみんなが彼女の歌に共感しているの。そんな光景を見るのは本当に素晴らしかった。そうなった理由は、彼女の60年代ドゥ・ワップ風のレトロな音楽性のせいかもしれないし、新作の“ノー”や“ミー・トゥー”みたいな曲の歌詞のせいかもしれない。どの曲も一緒に歌って楽しい曲だから。でも、彼女のサポートとして私が自分の曲を歌った時、観客から同じような反応を得ることが出来た。そこで初めて私の音楽は幅広い人が共感できる曲なんだって感じたの。あらゆる年齢層のあらゆる人が楽しめるんだって。私の世代に向けた曲が多いのは確かだけど、彼らをライヴに連れてくる親の世代でも、聞いて『私も昔そんなことがあった』とか『今の曲はいい曲だったわ。私が若い頃にもこういう曲があったらよかったのに』と思ってくれたりするんじゃないかしら。うん、だから、幅広い人たちに共感できるものだと思うわ」
Hailee Steinfeld / Untouchable Tour Recap
ーあなたはローティーンの頃から大人に囲まれてきたわけだけど、そのことで自分が同世代よりも早く大人になってしまったという感覚はありますか。
「ある意味、そういう部分はあるかも。友達と比べると、若い時から多くのことを経験することができた。最近になってそれを自覚するようになって。えっと、ただ、自分は大人っぽいと自分で言ってしまうことが果たして大人っぽい言動かどうかはわからないけど(笑)。でも、小さい頃から大人に囲まれて仕事をしてきたことで早く成長できたことは確かよ」
ー最新作『スウィート17モンスター』では自分よりも若い役を演じているわけだけど、あなたがステージに上がる時はかなりマチュアなスタイリングですよね。その辺り、自分ではどんな風に区別されてるんでしょう?
「ステージに立つ時は等身大の私よ。つまり、片や17歳になろうとしている自分を打ち出そうとして、もう一方で19歳の自分を出そうと使い分けをしているわけじゃない。役柄を演じる時は、その役が25歳だろうと17歳だろうと、それをいかに説得力を持って演じるかが俳優としての腕の見せ所。というか、演じることの面白さと思っている。それが私自身を反映しているわけではないから。まあ、自分がいまだに17歳に成りきっているのを冷静に考えると、不気味だし、かなりショッキングだけど(笑)」
ー最初のEP『ヘイズ』では、スウェーデンのプロデューサー・チーム、Matman and robinと主に仕事をしたわけだけど、彼らにしろ、ゼッドにしろ、それ以降に一緒に仕事をしたプロデューサーにしろ、それぞれ仕事のスタイルが違ってたりすると感じましたか?
「ええ、全然違う。Matman and robinは最高よ。最初にプロデュースしてくれた人たちで、何ヶ月も一緒に過ごしたし、二人からは多くを学んだ。二人ともいつだって曲をどうしたら最高のものにできるかを突き詰めている。曲のアイディアを出している時も、ずっと二人でスウェーデン語でずっと話し合ってるものだから、誰も彼らが何を話しているのかさっぱりわからないんだけど(笑)」
Hailee Steinfeld / Starving (Z100 iHeart Radio Jingle Ball 2016)
ー“スターヴィング”を一緒に作ったゼッドの場合は?
「彼は完全なる完璧主義者。彼との仕事もすっごく楽しいの。私とノリがすごく似ていて。最初は友達同士みたいにスタジオでハング・アウトしてる感じなんだけど、そこからいつもの間にかスイッチが入って、『さあ、仕事に取り掛かるぞ』ってモードに切り替えるの。彼って、真剣に取り組む面と楽しみながらやるバランスが完璧なの」
ーじゃあ、シンガーとしてそろそろ自分自身の声を持つ段階に来ていると思うんだけど、それについて一番サポートしてくれたのはプロデューサーというと?
「うわあ、どうかしら(笑)。たくさんの素晴らしいプロデューサーと仕事をしてきたんだけど、自分にとっては新しいことだらけなの。セッションを重ねる度に新しい発見がある。前まで気付いてなかった自分の可能性を知ることが出来たり。プロデューサーに指摘されたり、プロデューサーに背中を押されて、自分では絶対に出来ないと思ってたことがやれたり。だから、これまで仕事したすべてのプロデューサーから何かを学ぶことができたと思ってる」
Hailee Steinfeld / Starving (unplugged)
ーあなたはマイケル・ジャクソンやボーイズIIメンみたいな声をアートとして使う人たちに惹かれてこの道に進んだと思うんだけど、今、シンガーとしての一番のロール・モデルというと?
「マライア・キャリーもそう。今でも彼らは私にとって永遠のロール・モデル。今だとリアーナ、ドレイク、エド・シーラン、ショーン・メンデス……いくらでもあげられる。その人ならではのサウンドを持っている人たち。聞いてすぐにその人だってわかる人たち。ゼッドも大好きよ。そういうアーティストを尊敬してる」
ーあなた自身がリアルタイムのインディ・ロックやアート・ロックにコネクトした時代っていうのはあるの?
「特にないかも」
ー(笑)テイラー・スウィフトの2012年のアルバム『レッド』が出た時くらいから、完全にポップの時代になったんだよね。あのアルバムに入っている「We Are Never Ever Getting Back Together」には、「あなたはコソコソ隠れて/私のレコードよりもずっとクールなインディ・ロックのレコードを聴いて/気持ちを落ち着けるの」っていう象徴的なラインがあるんだけど。あなたが16歳の頃かな?
「そうね。でも、私自身、本当に幅広い音楽を聴くし、あらゆるジャンルのあらゆるアーティストの音楽を聞いてきたつもりなの。そして、この1年半は、本格的に自分の音楽を作るようになったの。自分はポップ・ミュージック・シーンの真っ只中にいるんだと思う」
ーあなたはEPでやった作品でレプリゼントしているものと“スターヴィング”がレプリゼントしているものは違うと思うんだけど、あなた自身はどう捉えていますか。
「その通りだと思うわ。EPを作っていた期間だけをとっても、6ヶ月くらいの期間だったんだけど、その間だって、最初に完成した曲と最後に完成した曲では大きな成長があったと思うし、内容も違っっていた。今、あのEPと“スターヴィング”を比べると、1年間が経っているわけで、サウンド面でも、歌詞の面でも、内容が違うと思う。音楽の中でいろいろなことを試すことがいいことだと思っている。自分の音楽が常に進化していて、変化し続けていると感じる。だから違いは絶対にあると思うわ」
Hailee Steinfeld / Starving (Today Show 2016)
ー次のアルバムでは明らかにそれも変わるという実感はあるの?
「今、まさにアルバムを制作している真っ最中だけど、当然サウンドの部分では同じ屋根の下に収まるまとまりもありつつ、曲ごとに違う要素も持ち合わせている。だから、最終的にアルバムにどの曲を入れるか決める時は、なかなか面白いことになると思う。今の段階では、かなりいろいろな種類の歌がたくさんあるから。でもいい感じに仕上がると思う」
Hailee Steinfeld / Untouchable Tour Recap pt. 2
ーじゃあ、最後に、来年前半にリリースされるあなたのデビュー・アルバムについて。その両側に並べるとぴったりハマるようなアルバムを2枚挙げてもらえますか?
「うわあ、どうしよう。大変(笑)。全然見当もつかない。えぇー、無理よ。どうしよう……。っていうか、自分の好きなアーティストを挙げればいいの?」
ーそう。その二枚に囲まれているとフィットする作品ってこと。
「うわぁ、マジで? う~ん、どうしよう。多分……ジャスティン・ティンバーレイクと……」
ーなるほど。
「あと、音楽的に果たして私のアルバムとフィットするかはわからないけど、ブルーノ・マーズのことを考えてたんだけど。二人とも、R&Bのサウンドを取り入れたポップだってところが大好きなの。それに二人ともすごく才能があるから。だから、ブルーノの次の新譜が出てたらそれを絶対に選ぶと思うけど」
ーでも?
「今だったら、彼の最新作の『アンオーソドックス・ジュークボックス』。それとジャスティンは『20/20エクスペリエンス』よ。でも、そんなの無理じゃない? 新人アーティストの棚から始めて、彼らみたいな高みを目指していくなんて!」
0コメント