マイケル・ムーアの世界侵略のススメ

ネットやテレビで不穏なニュースが続くと、「そろそろ、マイケル・ムーアの出番じゃないの?」と思う。最近も秘かにそう思っていたら、お待ちかねの新作が公開された。


監督はこれまで、銃規制(『ボウリング・フォー・コロンバイン』)、対テロ戦争(『華氏911』)、医療保障(『シッコ』)、資本主義(『キャピタリズム~マネーは踊る~』)など、アメリカが抱える数々の社会問題にアポなし突撃取材で立ち向かってきた。


しかし、新作『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』ではアメリカを飛び出し、「世界の常識を根こそぎ侵略する」というミッションに挑戦している。

つまり、これまでの作品では概ねアメリカや世界の欠点に迫ってきたが、今回は各国の良い部分にフォーカスし、美味しい部分を盗んで自国に持ち帰ろうという魂胆だ。


人を撃たない、石油を奪わない、アメリカに取り入れられるものを持ち帰るという3つのルールを定めたという監督は、「アメリカで一切撮影をせず、外国を“侵略”することでアメリカに関する映画を作る」ことを決めたという。


イタリアの労働環境(1年間の有給は8週間)や、フランスの学校給食(フレンチのフルコースが支給される)、フィンランドの教育(学力ナンバー1国家)など、“侵略先”で判明する数々の常識に驚く監督。観ているこっちもびっくりだし、監督の素のリアクションには大笑いだ。

でも、それだけではない。今作にはアメリカ国民だけではなく、日本に住む僕らにも響く発見が詰まっていた。すごくシンプルなんだけど実現できていないこともたくさんあって、何だか複雑な気分だ。ちょっと真面目になっちゃったけど、この映画、ぜひ観てほしいな。

『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』

監督・製作・脚本・“侵略”:マイケル・ムーア

原題:WHERE TO INVADE NEXT

配給:KADOKAWA

©2015, NORTH END PRODUCTIONS

TOHOシネマズ みゆき座、角川シネマ新宿ほか大ヒット上映中


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