日本が世界に誇る士郎正宗の漫画「攻殻機動隊」が、ハリウッドで実写映画化される。スカーレット・ヨハンソンが主演を務めると聞いて、一体どんな作品になるのやら…と若干心配していたら、ご本人が予告編と共に来日した。
11月13日、TABLOIDで開催されたエクスクルーシブイベントはすごかった。フロアへ行く間にはギャラリースペースが設けられ、撮影で使用されたコスチュームやコンセプトアートがこの夜のためだけに展示されており、世界中から集まったファンが目を輝かせていた。
イベントは押井守監督『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』(1995)同様、本作でも音楽を担当する川井憲次によるライブパフォーマンスからスタート。攻殻機動隊ならではの近未来感と日本の伝統楽器をハイブリッドさせたステージは圧巻だ。
続いて登場したのは、良くも悪くも世界中の注目を受けるであろう実写化に挑んだ、勇気あるサンダース監督。
「僕は95年に押井監督の映画を初めて観たのだが、あまりにも先取りしていて、今日の僕らがようやく追いついたようなアイディアも含まれていた。今のレベルまでテクノロジーに支配された時、人類がそれをどう取り入れて、どう受け入れるか、ということがね」と話した。
「映画やマンガ、アニメのテーマのひとつは、テクノロジーを信用することだったと思っている。本作ではテクノロジーの中に潜む希望を描きたいんだ。それは邪悪なものではなく、うまく育てれば僕ら人間の一部になり得るもので。人類が衰退することもないんだよ」
そのサンダース監督に、「荒巻役は彼以外考えられなかった。世界中を追跡して契約してもらった」と言わせたビートたけしは、「こんにちは。渡辺謙です」と登場。自身が演じた荒巻について、「容赦なくピストルを撃つけど、身内には親族のように接する、冷静な判断と冷徹な心を両方持っている男」と説明した。
久々のハリウッド作品に出演するにあたっては、「頑なに英語は嫌だと言ったら、日本語でいいと言われ、それでもセリフが覚えられないとか字が読めないとか、いろいろと難癖をつけていた」のだとか。
「一番感動したのは、主役のスカーレット・ヨハンソンが俺のカンペを持っていたこと。記念写真に撮りたいくらいの感動だった。それからはちゃんとせりふを覚えました」と笑っていた。
そしてついに少佐役のスカーレットが登場。サイドをシェーブしたヘアスタイルも、サイバーチックなドレスも、本当にかわいかった……(ちなみに前回の来日は『ロスト・イン・トランスレーション』の撮影時で、17歳だったそうだ。)
「攻殻機動隊」について知らなかったというスカーレットは、脚本とアニメの映像を「かなり恐ろしい」と感じたのだとか。「でもすごく哲学的だったから、実写化でどうなっていくのか、私がどう貢献できるかを考えると魅力を感じたわ」とオファーを引き受けた理由を明かした。
「少佐という役柄も、旅をしながらユニークな体験をして、今の自分のなかに影=GHOSTを感じている人だから、多くの側面を演じられることが魅力的だったの。演じるために肉体的にもたくさんトレーニングしたわ。マーベル作品での経験も役に立ったし、武器の使い方も覚えたのよ」
「いつも映画を制作するにあたっては、暗い劇場にいる観客とつながって、私たちが作り上げた世界に彼らを逃避させてあげたいと願っているの。ファンの皆さんには爆発的でエキサイティングな体験をしてもらうだけでなく、この映画を観て内省し、自身についてもっと好奇心を持っていただけたらうれしいわ」と彼女は加えた。
たけしは最後に、「感動するのは、特殊メイクとかいろんなフィギュアのデザイナーのすごさ。やっぱり映画が総合芸術だというのがこたえました。それに参加できたことが本当にうれしいです」と語った。
「ちょっとだけ映像を観させてもらったんですけど、かなりすごいですよ。本当に悔しいくらいお金かかってます。私の映画100本くらいできるんじゃないかってくらい、すごいです」
そして予告編が上映され、僕らは食い入るように見入った。今の段階では、なかなかどうして期待できそうだ。たけしの演じる荒巻を見て、隣にいたアメリカ人が「彼って、ものすごいBadassよね!」と言っていたのが印象的だった。
『GHOST IN THE SHELL ゴースト・イン・ザ・シェル』
監督:ルパート・サンダース 『スノーホワイト』
音楽:川井憲次『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』
少佐役:スカーレット・ヨハンソン
荒巻役:ビートたけし
オウレイ博士役:ジュリエット・ビノシュ
クゼ役:マイケル・ピット
バトー役:ピルー・アスベック
2017年4月公開
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