ポートレートの上に線を描いたアート

Kozue Sato

Writer, Editor, Party Hacker. Based in Toronto since 2014.

名作や偉人、レジェンドのポートレートの顔の上に、細かい線が描かれたアート。どこかの民族の伝統的なメイクのような、はたまた表情筋が透けているかのような描写は、見る者に強烈なインパクトを与えてくる。このアートを発信しているインスタグラムアカウントWERRITは、ミラノ在住のDaniel Lavranoというアーティストらしい。気になってメッセージを送ってみると、さっそく返信があった。


リアーナやニーナ・クラヴィッツといった美女、バスキアやマイケル・ジョーダンらレジェンドのポートレートを、ぶっ飛んだ近代アートに昇華させているアーティストは、一体どんな人なのだろうか? せっかくなので、いくつか質問を投げかけてみた。

ー絵を描き始めたのはいつから? そして、どうして顔にトライバルな模様を描こうと思ったの?

「本格的に絵を描き始めたのは6年前だよ。でも、アートは普遍的に好きなものであって、常に絵を描くことが好きだった。それから、写真も6ヶ月くらい前に撮り始めて、それがアメリカはマディソン発の雑誌、Moda Magazineに掲載されたんだ。笑顔が美しい子供の写真だったんだけど、そこにペイントしてみたのが、この新しいスタイルで作品を作り始めたきっかけだよ。ペイントすることで、人々の顔に変化を付けることが面白いと思ったんだ。トライバルな線を描いたのも、そこから派生したことだ」

ーすごく細かい作業に見えるけど、どれぐらいの時間をかけているの?

「分からないけど、たぶん1~2時間くらいかな? キャンバスや写真の大きさにもよる。もちろん、ありったけのインクとペンを使って描くんだ」 

 ーミラノってどんなところ?  

「アートが好きな人にとって、完璧な場所だ。アートイベントやギャラリーがたくさんあって、芸術に触れる機会がたくさんある。ただ、若いアーティストが日の目を浴びるには難しくもあるね」  

ーあなたのアートの源は?

 「この世界、宇宙、そして私の魂だ」  

既存の見慣れたモノに何かを加えることで、新しいアートが生まれる。それはマルセル・デュシャンによる便器にサインをしただけの作品「泉」がパイオニアであり、ヒップホップにおけるサンプリングという概念にすら影響を与えてきたわけだ。そうやって先人が行ってきたように、普段そこにあるものを違う視点で見つめれば、この世界はどんな風にだって変化する。今までそこに無かったもの、見えなかったものが、突如目の前に現れる。それがきっと、人間を媒介して届けられるアートという名の、素晴らしい宇宙の産物なんじゃないかな。

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