サマソニ直前 短期集中ゼミ③「レディオヘッド? 夏だ、祭りだ! この夏の主役はフロー・ライダーです!」

今年の〈サマーソニック〉で観るべきアーティストは誰なのか? 世間的な下馬評からすれば、おそらくその筆頭に挙がるのは、大阪初日、東京2日目のヘッドライナー=レディオヘッドだろう。

でも、夏フェスってお祭りじゃないの? この20年もの間ずっと世界一であり続けてるバンドか何か知らないけど、あんな辛気臭い音楽でお祭りになるのかね。と思っているあなたに朗報です。俺たちにはフロー・ライダーがいる。


今年の日本全国の夏フェス出演者の中でも、ヒット曲の数では断トツ。しかも、その大半が「夏だ、水着だ、お祭りだ!」モードのパーティ・チューンばかり。なので、絶対に楽しい。この夏をお祭り騒ぎで締めたいなら、絶対にフロー・ライダーを観るしかない。というお話を〈サイン・マガジン〉の2人による対談形式で詳しくお届けすることにしよう。

まずはこの阿鼻叫喚のお祭り騒ぎを観てください。これは絶対に楽しい!


Flo Rida / Hello Friday (Live At The Summertime Ball 2016)

田中「しかし、だれが観るんだろうね、〈サマーソニック〉でのフロー・ライダー?」

小林「いきなり記事の主旨を大否定ですか」

田中「でも、小林くんも俺もレディオヘッド観るよね」

小林「まあ、同じ時間帯だと、でんぱ組.incは100%観ないだろうし。申し訳ないけど、ガーデン・ステージのmoeとかほぼ知らないし」

田中「レディオヘッド観ちゃうと、終わってから移動しても、ちょうどフロー・ライダー終わったくらいだしね」

小林「The 1975ならレディオヘッド終わりに移動しても、後半クライマックス30分くらい観れますけどね」

田中「このタイムテーブルってさ、『レディオヘッドが好きで、フロー・ライダー好きな奴なんて、この世にひとりもいないだろ?』って認識が前提になってるじゃんか」

小林「まあ、僕の目の前に、とりあえずひとりはいますけどね」

田中「フロー・ライダー、めっちゃ観たかったのに。ふざけんな!って感じだよ、このタイムテーブル」

小林「でも、実は、この日の〈サマーソニック〉のマウンテン・ステージって結構いいんですよね。まずお昼すぎにはムーがいて」

田中「メジャー・レイザー“リーン・オン”のフィーチャリング・シンガーとしてスポットライトが当たったシンガーね」


Major Lazer & DJ Snake / Lean On feat. MØ

田中「で、この2010年代に80年代ディスコ・ブギー・サウンドを再定義したタキシードでもお馴染、メイヤー・ホーソーンがいて」


Mayer Hawthorne / The Walk

小林「その次がカシミア・キャットだし。そもそもアンダーグラウンドでの信頼はあったけど、アリアナ・グランデのアルバムに参加して、メインストリームからも脚光が当たるようになった」


Cashmere Cat / Adore feat. Ariana Grande

田中「しかも、マイケル・ジャクソンのソロから、ジャクソン5~全盛期ジャクソンズ時代のヒットまでやってくれるジャクソンズがひかえてる! ここ、今年の夏のハイライトだから」

小林「マイケル・ジャクソンいませんけどね」


The Jacksons / Blame It On the Boogie

小林「で、その後が、ブルーノ・マーズをフィーチャーした“アップ・タウン・ファンク”が記録的な大ヒットになったマーク・ロンソンですからね。かなり充実してるんですよ」


Mark Ronson / Uptown Funk feat. Bruno Mars

田中「ブルーノ・マーズいないけどね」

小林「そう考えると、この日のマウンテン・ステージの大トリがフロー・ライダーっていうのは、今のアメリカのメインストリームの流れを一望出来る流れになってるんですよね。かなりお得」

田中「この日一日、マウンテン・ステージにだけいれりゃ十分だって人もいるんじゃないの?」

小林「それ、どのくらいいるんですかね?」

田中「俺とかもそうだし。だって、レディオヘッドを除けば、一番でかい屋外のマリン・スタジアムで観たいアクトひとつもないじゃん」

小林「確かに。そう言われれば、僕もそうかも」

田中「だから、朝からずっとマウンテン・ステージにいる人たちが大挙して、フロー・ライダー観るんじゃないの?」

小林「でも、フロー・ライダーって、日本だとどうなんですか?」

田中「わかんないなー。でも、ファンはヘッズというよりはウェ~イ系なんじゃないのかな。EDMのファン層と被る感じ」

小林「なるほど。ある時期のピットブルとか」

田中「俺、今から4、5年くらい前、DJでもEDMかけまくってる時期あったじゃん。リアーナの“ウィ・ファウンド・ラヴ”の頃」


Rihanna / We Found Love ft. Calvin Harris

小林「ああ、久しぶりに会ったら、2011年のベスト・トラックはリアーナだって言ってて、びっくりした記憶ありますわ」

田中「明けた2012年とかは、“ウィ・ファウンド・ラヴ”が必ずセットのピークにあったし、LMFAOの“パーティ・ロック・アンセム”とか、PSYの“カンナム・スタイル”とかもかけててさ。当時、フロー・ライダーもよくかけてたのよ。今はほぼやんないけど」

小林「そうか。フロー・ライダーって、デヴィッド・ゲッタと組んで、ヒット飛ばしまくってますもんね」

田中「しかも、最初は2010年とかの話だし、ラッパーの中でも最初にEDMやった一人なんですよ」


Flo Rida / Club Can't Handle Me ft. David Guetta 

David Guetta / Where Them Girls At ft. Nicki Minaj, Flo Rida

小林「なるほど。ビルボードのトップ5にシングルが3枚もランク・インしたアルバム『ワイルド・ワンズ』って2012年ですもんね」


Flo Rida / Wild Ones ft. Sia

田中「1曲はNo.1ヒットだし。何ならチャート的には2012年はフロー・ライダーの年っていう話もあるくらいで」


Flo Rida / Whistle

小林「ある意味、EDM隆盛に一役買ったっていう」

田中「俺がよくかけてたのは、“グッド・フィーリング”って曲なんだけど、エタ・ジェームズのサンプル使ってて、超ブルージーなの」


Flo Rida / Good Feeling

小林「しかし、そう考えると、今年の夏フェスに出演してるすべてのアクトの中で、一番世界的なヒット曲を持ってるのは、この人?」

田中「だって、全米No.1シングルが3曲もあるんだよ。だれも敵わないっての」


Flo Rida / Low feat. T-Pain

Flo Rida / Right Round feat. Ke$ha

小林「てことは、セットリスト的にもヒット曲練発?」

田中「しかも、どれも基本的にはパーティ・チューンだしさ。絶対に楽しいに決まってるわけさ」

小林「でも、メインストリームのトレンド的にはEDMが完全に終わって、ディープ・ハウスに移行した、この2016年にEDMトラック連発はさすがにきつくないですか?」

田中「いやいや、そこは変わり身が早いっていうか、流石っていうか、去年の新作『マイ・ハウス』だと、さっさと次に行ってるから」


Flo Rida / GDFR ft. Sage The Gemini and Lookas

Flo Rida / My House

小林「なるほどねー」

田中「でも、ホントいい曲多いよ。『マイ・ハウス』に入っているロビン・シックと一緒にやってる“アイ・ドント・ライク・イット・アイ・ラヴ・イット”とか、マジ最高なんだけど。これは今もDJで使ってる」


Flo Rida ft. Robin Thicke & Verdine White / I Don’t Like It, I Love It

小林「ただ、アメリカではここ数年ずっとチャート上位の常連で売れまくってるとはいえ、日本のヒップホップ/R&B好きやブラック・ミュージック好きからは、ほぼほぼスルーっていうか、リスペクトされてませんよね」

田中「まあ、デビュー時期はまだしも、ここ数年は、いい意味で、とことんチャラいっていうか、夏だ! 水着だ! お祭りだ!って感じのパーティ・チューンで大ヒット連発してきた人だしね」

小林「実際、カマシ・ワシントンがー、とか、ロバート・グラスパーがー、とかって人からすると、セルアウト感ありますもんね」

田中「まあ、日本はむしろエッジーで、レフトフィールドで、アンダーグラウンドなものの方がウケるからね」

小林「しかし、フロー・ライダーって、日本でいうと、だれですかね?」

田中「ナオト・インティライミとか?」

小林「テキトーだな!」

田中「いや、音楽的にはきちんとしてるし、カラーもあるし、ポピュラリティもあるんだけど、そんなリスペクトされてる感じなさそうじゃん。『ミスチルより断然ナオト・インティライミの方が好きなんです!』ってファンもかなり少数派でしょ」

小林「それはさておき、サウンドだけじゃなくて、ヴィジュアルとかも含めて、やっぱり近いのはLDH関係とかじゃないんですか?」

田中「うーん、そうかなあ。EXILEにはフロー・ライダーをフィーチャリングした曲もあるし、まあ、順当な感じはするけど」


EXILE / THE NEXT DOOR ~INDESTRUCTIBLE~ (feat. Flo Rida)

田中「でも、三代目とかがアフロジャックにプロデュース頼んだり、マネージメント契約したのが一昨年とかでしょ? いい意味でフロー・ライダーは遥かにちゃらいっていうか、売れ線のトレンド取り込むのホント早いし。まあ、でも、そんなの関係ないか」

小林「三代目 J SOUL BROTHERSのファンがフロー・ライダー観るためにサマーソニックのチケット買ってるか?っていうと、微妙ですよね」

田中「LDH周りのファンで、フロー・ライダーも大好きって人がいるのかどうかっていうと、あんま想像つかないよね。要は、日本だと見事にすべての狭間っていうか。これだけビッグなのに」

小林「でも、そう考えると、確かにもったいない」

田中「だって、レディオヘッドと重なってなきゃ、俺、絶対観るよ。この日の〈サマーソニック〉で観たい順番でいうと、レディオヘッド、ジャクソンズ、韓国のhyukoh、で、The 1975。いやむしろ、The 1975よりもフロー・ライダー観たいかも。小林くんは?」

小林「レディオヘッドを除くと、ムーとかキングは観てみたいかな」

田中「レディオヘッドと重なってなかったら、フロー・ライダー観る?」

小林「観ないな~」

田中「糞インディだな。マインドが」

小林「いやいや、そんなもんですよ」

田中「俺、大阪にしか出ないヘイリー・スタインフェルドだけは観たくて、大阪行こうと思うから、その日ついでにフロー・ライダー観てこようかな」

小林「いやいやいや、大阪だとフロー・ライダーの時間って、レディオヘッドの2時間のセットに100%被ってますって」

田中「マジか。大阪のフロー・ライダー、やばいじゃん!」

小林「お客さん少なすぎて激怒しちゃうんじゃないかなー。でも、さっきの話、レディオヘッドなんて関係ないっていう人が詰めかける可能性もないとは言い切れないじゃないですか?」

田中「お客さん少なすぎて、一曲でやめちゃうかもね」

小林「まあ、逆に、それだったら伝説ですね」

田中「と考えると、2016年〈サマーソニック〉一番の伝説の目撃者として絶対に見逃せない、っていう話もある」

小林「ひどい(笑)」

田中「2003年だったか、リバティーンズの札幌公演でさ、ステージ上でピート・ドハーティとカール・バラーが大喧嘩して演奏を中断して、ようやく仲直りしたものの、喧嘩の最中にギター・アンプ壊しちゃったから弾き語りでやって、伝説になったじゃん」

小林「何を期待してるんですか」

田中「フロー・ライダー、強面のギャングスタだから、殺人のひとつやふたつ起こるんじゃないの?」

小林「むちゃくちゃっすね」

田中「てな感じの、タチの悪い冗談をオチにしたいがために、この記事作ったところもあるんだけど」

小林「オチがないと気がすまない性格、やめた方が良くないですか?」

田中「これ読んだフロー・ライダーのファン、怒るかな?」

小林「それ以前に、SILLY編集部からボツ喰らうかもしれませんよ」

田中「じゃあ、それもまた伝説だ!」

小林「この記事が世に出ることを祈っています」

田中「やっぱフロー・ライダー観たいなー」

0コメント

  • 1000 / 1000