サマソニ直前 短期集中ゼミ①「今、Suchmosに勝てるのはhyukohだけ!」

今年の〈サマーソニック〉で観るべきアーティストはだれなのか? 悩んでいる諸氏もいるに違いない。

レディオヘッドを観るのは当たり前。〈ホステス・クラブ・ウィークエンダー〉がとにかく豪華だけども、深夜でしょ? アンダーワールドかぁー、悩むところ。そんな感じだろうか。

そこで、ほとんどだれも気付いていないけど、見逃したら5年後まで絶対に後悔する、いや、むしろLCDサウンドシステムの“ルージング・マイ・エッジ”ばりに「I WAS THERE!」と10年後にも自慢ができるに違いない必須アクトを〈サイン・マガジン〉の2人による対談形式で紹介しよう。


LCD Soundsystem  /  Losing My Edge

田中「しかし、それにしてもSuchmosすごいねー」

小林「すごいっすねー」

田中「ほら、俺、去年の年末くらいに、『とにかくKOHHとhyukohとSuchmosだ!』ってずっと言ってたじゃん」

小林「しつこかったっすねー」

田中「でも、気がつけば、日本だけの状況でいうと、もうSuchmosが圧倒的だもんね」


Suchmos / MINT


小林「まあ、KOHHもあれからアメリカやフランスで確実に成功の足掛かりをつかんだし、この前の〈フジロック〉のホワイト・ステージでのパフォーマンスで、また確実に広い層に認知された感じありますけどね」

田中「でも、Suchmosの場合、もはや〈フジロック〉がどうとかいうレベルじゃないよね」

小林「いわゆるロキノン系のJ-ROCKを除けば、唯一ここ半年で大ブレイクしたって感じですよね。普段から熱心に音楽を聴くタイプじゃない人たちも、こぞってSuchmos聴いてる感じありますもん」

田中「いわゆるクソ音楽好きからは、『普段、音楽を聴かない連中のおしゃれアイテムになってる』っていう、どうしようもない妬み半分のバックラッシュとかもありそうな勢いだもんね」

小林「正直、何かしらブラック・ミュージックのエッセンスを取り込んだ日本のバンドっていう点では、僕もSuchmosよりceroの方を聴きますけど」

田中「個人的な音楽的テイストからすれば、俺もceroの方が断然好みなんだけど、Suchmosの場合、やっぱり存在感っていうかさ、音楽性プラスαの部分でのバンドの佇まい。それがあまりに最高じゃん」

小林「いい意味でのストリート感っていうか、不良感ありますもんね」


Suchmos / YMM (live at Shibuya WWW)

田中「それってストーン・ローゼズでもハッピー・マンデーズでもいいけど、バンドに惹かれる大事な理由のひとつだし」


Happy Mondays / Step on

田中「前にもSILLYの〈フジロック〉記事でも言ったけど、Suchmosの場合、幼稚園時代からずっとクラス一番の人気者のやんちゃが集まった佇まいっていうか。メンバー全員がクラスで一番いけてるグループに属してて、それがそのままバンドになったって感じ。これはチャーミングだよー」

小林「まあ、オアシスとかだと、クラスのいけてる不良の中にいじめられてる奴が一人いる感じありますけど」

田中「オアシスの太鼓の人、いじめ抜かれて、揚げ句はPVでお墓の中に埋められて、結局、辞めちゃったもんね」


Oasis / Live Forever

小林「でも、Suchmosの場合、古のローリング・ストーンズみたいに全員の音楽的アイデンティティがはっきりしてるし、確実にキャラ立ちしてますもんね」

田中「Suchmosとメンバーが被ってるSANABAGUN.とかも、音楽性から言えば引けを取ってないどころか、音楽的にはよりドープだったりして、超かっこいいじゃん。でも、状況的にこんなに差がついちゃった理由は、Suchmosの6人のロック・バンド然としたバランス感が大きいのかなーとか思うと、かなり悩ましくもあるんだけど」


SANABAGUN. / Mammy Mammy

小林「何にせよ、Suchmosがブレイクしたことは日本のポップ・シーンにとって、よかったんじゃないですかね」

田中「Suchmosのおかげで、半年もすればbpm180とかbpm200のJ-ROCKがすべてダサいってことになる可能性だってあるしね」

小林「Suchmosを語る際に必ず名前が挙がるのは、ジャミロクワイとか90年代初頭のアシッド・ジャズだったり、いわゆるソウルだったりしますし、bpm90台のゆったりとしたグルーヴで躍らせるっていうのは、フェス主導型のとにかく激上がりさせなくちゃ駄目っていう磁場に対して、化学反応を起こしてくれるかもしれませんよね」

田中「それで言うと、ceroの“Orphans”はbpm80半ばとかだし、あのメロウでシルキーなグルーヴこそが、ここ数年、日本から出てきた曲の中じゃピカイチだとは思うけど」


cero / Orphans

田中「でも、今のSuchmosほどポップ・シーン全体に影響を及ぼしそうな訴求力はなかったもんね」

小林「まあ、あれは誰でも出来るわけじゃないですから」

田中「実際、向かうところ敵なしだもんね、Suchmos」

小林「なんならJ-WAVEとか、Suchmosがいてくれたおかげで息を吹き返したっていうか、久しぶりに局自体の方向性が見えるようになった感じさえあるんじゃないですか?」

田中「でもさ、hyukoh(以下、ヒョゴ)すごいじゃん!」

小林「そうですか。いきなりっすね」

田中「演奏的な基礎体力とか、ソングライティングのセンスとか、一歩も退けを取ってないじゃん!」

小林「そうっすね」

田中「韓国内でも人気すごいじゃん!」


hyukoh / Hooka (live on MelOn Music Awards 2015)

田中「オ・ヒョクの歌唱力とかすごいじゃん!」

小林「声もいいっすね」


hyukoh / Isn't She Lovely (Stevie Wonder cover)

小林「まあ、Suchmos聴いてるなら、普通にヒョゴも聴いてほしいと思いますけどね。音楽的には違和感なく並べて聴けるし」


hyukoh / Comes and Goes (live at SBS Awards Festival 2015)

小林「でも、日本での需要は、まだK-POPとか全般的な韓流カルチャー好きの中にとどまっている感じがします」

田中「レイシストだらけだもんね、この国は」

小林「ただ、Suchmosの場合、欧米の音楽がベースになっていながらも、確実にローカライズされてるじゃないですか。いい意味でも悪い意味でも、いかにも日本のバンドっていうか」

田中「実際、2010年代になって海外のポップ・シーンで起こってることとは、ほぼほぼ関係ないっちゃーないもんね」

小林「でも、韓国の場合、良くも悪くも、文化的なグローバリゼーションが行き届いているから、彼らが見てる先って本国韓国やアジア諸国というよりは、完全にアメリカでしょ」

田中「だね。良くも悪くも。でも、韓国のポップ・シーンはアメリカとも欧州ともおもいきりクロスオーヴァーしてる。日本と違って」


차지연 X LDN Noise / My Show

小林「欧米のトレンドが今やほぼ浸透していない日本のリスナーからすると、ヒョゴの音楽に距離を感じるところなんじゃないですかね」

田中「でも、まさにそこがヒョゴのすごいところじゃん。ソウルっぽい曲もあれば、ボサっぽい曲もあるし、普通のギター・ポップもある、その音楽性の幅っていうか」


hyukoh / Wi Ing Wi Ing

hyukoh / Panda Bear

田中「韓国の人気プロデューサー、PRIMARYの曲で、オ・ヒョクが歌ってるメロウなR&B曲とかも最高じゃんか」


PRIMARY, OHHYUK / Bawling

小林「言ってしまえば、欧米のトレンドを全部取り込もうとしてるようなところはありますもんね。でも、むしろそこが日本じゃ難しいんじゃないかな」

田中「日本会議と縁の深い方が都知事になる国だしね」

小林「そういう部分はさておき、オ・ヒョクのヴィジュアルとか、日本で受けるんですかね?」

田中「鼻ピアス嫌い?」

小林「坊主だし」

田中「そんなの、カニエ・ウェストだって坊主だよ!」

小林「でも、ちょっと怖くないすか?」

田中「めっちゃチャーミングだっつーの。俺が女なら、もう絶対に抱かれてる。aiko風に言うと、『あたしはあなたなしでは生きてゆけない体になるだろう』って感じ」

小林「知りませんよ」

田中「さらにaiko風に言うと、『あたしの体の真ん中/自分じゃないみたい』な感じになってると思う」

小林「まあ、韓国版ではありますけど、『DAZED & CONFUSED』にも彼ひとりで表紙になったりしてましたし、セックス・アピールはあるんでしょうね」

田中「去年秋に突発的にブッキングされた渋谷o-nestのライヴとか、チケット瞬殺だったし。この夏の〈サマーソニック〉でようやく観れるんですよ。マジ必見でしょう、これは!」

小林「でも、ビーチ・ステージで14時50分スタートでしょ。外、暑いっすよ」

田中「暑いね」

小林「行きたくない」

田中「だね。でも、時間的にかぶってるの、META FIVEとトゥ・ドア・シネマ・クラブくらいでしょ。METAFIVEはこの前、観れたし、この時間帯、ヒョゴしか観るものないじゃん。観ろよ」

小林「てか、前日は朝までぶっ通しで〈ホステス・クラブ・オールナイター〉で遊んで、その後は帰宅して、マリーン・ステージのトリのレディオヘッドまで鋭気を養うんじゃなかったんですか?」

田中「でも、ヒョゴは14時50分からだし、16時半からはマイケル・ジャクソンはいないけどジャクソンズもあるしさ」

小林「どうせ起きれないでしょ。どっちも間に合いませんよ」

田中「と思って、計画を変更しました。前日に〈ホステス・クラブ・オールナイター〉を観るのやめて、大阪の〈サマーソニック〉に行く」

小林「何故に?」

田中「大阪にしか出ないヘイリー・スタインフェルドをまず観る」

小林「そこ? テイラー・スウィフトのずっ友で、テイラーとケンドリック・ラマーの曲のPVにも出てた女優ですよね」


Taylor Swift / Bad Blood ft. Kendrick Lamar

Hailee Steinfeld Talks Taylor Swift's Bad Blood Video

小林「ほんと好きですよねー、ヘイリー・スタインフェルドのこと」

田中「一応言っとくと、ファンは彼女のこと、ヘイズって呼ぶんですよ」

小林「でも、わざわざ大阪まで行かなくても」

田中「Tシャツ買いたいし」

小林「大阪行けば、レディオヘッドとジャクソンズが二回観れるとかじゃないんですね」

田中「うん、Tシャツ欲しい。コーエン兄弟の映画『トゥルー・グリット』で主役級を張ってた時から、とにかく大ファンなんだけど」


『トゥルー・グリット』予告編

田中「『はじまりのうた』とかはイマイチだったけど、アサシンもののアクション映画かと思いきや、恋と青春のハイスクール・コメディだった『ベアリー・リーサル』とかも、とにかく最高なんですよ」


『ベアリー・リーサル』予告編

小林「僕は『ピッチ・パーフェクト2』でようやくその名前を知りました」


『ピッチ・パーフェクト2』予告編

田中「あれ見ると、歌も本気で超上手いでしょ。だから、剛力彩芽みたいな、本来なら歌わせちゃいけない女優とは話が違うんですよ。とにかく実力派シンガーなわけ」


Hailee Steinfeld / Love Myself


田中「一番新しい曲はゼッドとやってんだけど、なんか80年代にエクストリームとかがやってたバラッドみたいな感じでさ。ゼッドのキャリアのターニング・ポイントにもなるんじゃないかな」


Hailee Steinfeld & Grey / Starving feat. ZEDD

小林「ほんと、そこですか? 音楽聴いて、言ってます?」

田中「いや、勿論、スタイルも超いいし、ルックスのすべてが好みすぎるくらい好みなんだけど。彼女って何歳か知ってる?」

小林「20代前半とか?」

田中「19歳でっす!」


Hailee Steinfeld / Rock Bottom ft. DNCE

小林「てか、この原稿の趣旨からズレてきてますけど」

田中「いや、大阪だとヘイズの後が、同じステージでヒョゴなんですよ。なんとヘイズとヒョゴが連続で観れる。だから、ここが今年の〈サマーソニック〉の一番の穴場なの。かつ、この場所にいたことを、5年後も10年後も100%自慢出来る場所なのはまず間違いない」

小林「ほんとかなー」

田中「5年後に吠え面かくなよ!」

小林「まあ、覚えときます」

田中「ヘイズのTシャツ、買ってきてあげようか?」

小林「いりません」

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