実用性ゼロの「歩く自転車」

Kozue Sato

Writer, Editor, Party Hacker. Based in Toronto since 2014.

オランダの彫刻家、テオ・ヤンセンの有名な作品「ストランドビースト」は、一度見たら忘れられないインパクトを持っている。風を動力にして動く巨大なアート作品だが、もはや芸術ではなく新たな生き物として存在しているのだ。


世界中にファンを持つこのストランドビーストだが、アメリカはカリフォルニア州に拠点を置く工業製品開発グループのcarvは、自転車にそのデザインを落とし込み、世にもエキセントリックな"歩く自転車"を作ってしまった。 


まず、実用性はゼロに等しい。漕いでも漕いでもなかなか進まず、後輪がただウネウネと、ストランドビーストと同様に生き物のような動きを見せつけてくる。しかしながら、正直ちょっとだけ漕いでみたい。



 carvの製作者は「このイカれた”テクニカル・アドベンチャー”計画は、2014年の秋にはじまった。まずは3DモデリングソフトウェアSketchUpで描いたアイデアを、3Dプリンターで再現したんだ。それを周りの技術者の友人たちに見せて、チームを形成した。毎週月曜日から水曜日、夜間に3時間設けて作業を続けてきたよ。実に400個ものカスタムメイドのパーツを作って仕上げたんだ」とオフィシャルブログで語っている。 

 

この奇妙な歩く自転車は、カルフォルニア州はサンタ・バーバラのアートフェスで、見事2マイル漕ぐことに成功した。さらに、サンフランシスコの科学博物館Exploratoriumで行われたストランドビーストのイベントで展示され、100人以上の人がペダルを漕いだりと、着実に日の目を浴びている。 

現在はプロットタイプのみで、手に入れることは難しい。正直、自転車としては”人とは違ったモノを持ちたい!”という人にもまったくオススメできないが、製作者たちの涙ぐましい努力と情熱を、しっかりと受け止めようではないか。 

 source:carv

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