週末観たい映画『シング・ストリート 未来へのうた』

いつの時代もどこの国でも、男子は女子にモテたいからバンドを始めようと考えるのだ。


『ONCE ダブリンの街角で』『はじまりのうた』のジョン・カーニー監督の最新作『シング・ストリート 未来へのうた』が、7月9日(土)に公開される。監督の自伝的作品だという今作でも、前2作同様、音楽が重要な役割を果たしている。

舞台は1985年のアイルランド・ダブリン。主人公は14歳のコナー。大不況で父親が失業したせいで、私立から公立の荒れた学校に転校させられ、ヤバそうなヤツに目をつけられるわ、校則違反だと靴を取り上げられるわ、悲惨な日々を送っている。そんなコナーにとって、アニキと一緒に観る音楽番組「トップ・オブ・ザ・ポップス」が何よりも楽しみだった。


そしてもちろん、コナーは恋に落ちる。完全な一目惚れだ。相手はちょっと年上で大人っぽい自称モデル。コナーはうっかり口を滑らせてしまう。「僕のバンドのミュージックビデオに出ない?」と。

映画はそんなコナーが音楽オタクのアニキの助言(「他人の曲で女を口説くな」「フィル・コリンズを聴くヤツはモテない」など)を受けながら、友人たちとバンドを組み、ミュージックビデオのゲリラ撮影に没頭する日々を描く。問題だらけの家庭や、彼女との切ない恋に心を痛めながら、音楽と共に少しずつ男になっていくのだ。

劇中で流れるのは、デュラン・デュラン、ザ・キュアー、ザ・クラッシュ、ザ・ジャムなど、80年代の迷える若者たちの救世主だったUKロック。海の向こうのロンドンに憧れて古着を駆使していたという、当時のダブリンのティーンのファッションも見事に再現。影響されるアーティストによって変わっていく、コナーのルックスもリアルでいい。

プレミア上映された今年のサンダンス映画祭では、スタンディングオベージョンとダンスで絶賛されたらしい。僕も拍手したくなったし、80年代のティーンになって、好きな女の子にデモ音源を渡したくなった。もちろん、カセットテープで。

『シング・ストリート 未来へのうた』

監督・脚本:ジョン・カーニー『ONCE ダブリンの街角で』、『はじまりのうた』

出演:フェルディア・ウォルシュ=ピーロ、エイダン・ギレン、マリア・ドイル・ケネディ、ジャック・レイナー、ルーシー・ボーイントン

配給: ギャガ

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7月9日(土) ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷シネクイント 他全国順次公開

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