雑誌・Ollieによる「スニーカーの美術館」仕掛け人にコンセプトを直撃取材

SILLY読者だったら、きっとストリート雑誌・Ollieは知ってるよね? 彼らがなにやら「スニーカーの美術館」をやるっていうから、これは絶対経緯を聞かなきゃと思って、先月引っ越したばかりっていうおしゃれな編集部に遊びに行ってきたよ。


この企画、概要を説明すると、「スニーカーはストリートが生んだカルチャーでありアートだ」っていうマインドを具現化したものだそう。もともとはグラフィックアーティストのYOSHIROTTENによる連載企画「KICKS PARADISE」が発端だったとか。この企画は、「こだわりのスニーカーこそストリートの至高の芸術品」っていうテーマ。ストリートキッズには欠かせない、スニーカーっていう大事なファッションアイテムをアートに昇華するなんて、いったいどんな発想なんだろう? このイベントのディレクターを勤める、Ollieのプランナー、大野くんに聞いてみた。

(Artwork by YOSHIROTTEN)


「スニーカーってもともと履くものだけど、コレクションする人もいっぱい出てきましたよね。履かないまま並べることで満足だったり、お金がなくなったらそれを売ったり。人によっては倉庫を借りて保管してるだけの人もいる。もうそれってアートを集める感覚と一緒じゃないかと思うんです。スニーカーは、すごく身近にあって割と気安く買えるものだけど、ストリートが生んだちっちゃな美術品だなっていう感覚で。

だから、ストリートの目線から見た「スニーカーってアートじゃん!」っていう発想と、「スニーカーにインスパイアされたアート」として昇華したものを同時に並べたら、それって美術館になるんじゃないかっていうのがコンセプトですね」

(ブロンズでスニーカーをアートに昇華するアーティスト、マット・セナ の作品も並ぶ)


あと、この展示をやると聞いたとき、紙のメディアとしての「雑誌」が、「場所」を使って何かをやるということについても気になってた。Ollieは、渋谷のSOUND MUSEUM VISIONでも定期的にイベントをやってたりしてたけど、ストリート誌が立体的なプロジェクトとして「ミュージアム」をやるなんて、すごく画期的だ。なんでそんなこと思いついたんだろう?


「僕は、雑誌は情報を与えるだけじゃなくて人に影響を与えるものって思ってます。でも影響を与えるということは、結局ちゃんと読んでもらわなきゃいけない。ということは、読んでもらうキッカケも与えなきゃいけないということです。どれだけイイものを作ってても、人の目に届かなければ、意味がない。そうなったときに、雑誌が人に影響を与える=雑誌を見てもらうために何をするべきかって考えたら、イベントをやって体感してもらおうって思いついたんですよ。

Ollieが去年リニューアルして、ワンテーマ・ワンイシュー(ひとつの号をひとつの大きなテーマでくくること)のスタイルになったときに、”スニーカーイシュー”という切り口もアリだなぁということになって。Ollieでは今スニーカーの連載もやってるので、雑誌がちゃんと成り立っていてコンセプトがしっかりしていれば、ブランドさんにもご協力頂けるんじゃないかって思ったんです。

今回この企画がうまくいったら、アイテムをヘッドギアに変えてみたり、スケートデッキに変えてみたり。いろいろできるんじゃないかなと考えてるんですよ。海外のイケてるスケートショップとかに行くとよく見るんですが、高い天井にスケートデッキが200枚ぐらい並んでたりする。あれってアートだなって思うぐらい圧巻なんですよ!」


すごい楽しそうだな(笑)。このワクワク感こそが、おもしろいコンテンツを作り上げる原動力だと思う。

(代官山蔦屋書店と並ぶギャラリーで開催)


展示では、気鋭アーティストたちの協力によるスニーカーボックスをモチーフにした家具や、スニーカーボックスをキャンバスにした多様なアート作品が飾られ、ギフトショップではOllieともゆかりの深いブランド、MAGIC STICKのマットやAPPLEBUMとのコラボTシャツなども取り扱うらしい。


「最初はアートピースももっと売れるようにしたかったんですけど、なかなかブランドさんのロゴをお貸し頂くとなると難しくて。でも展示されるアート作品も、とても見応えがあって意味のあるものになってます。たとえば、90年代に作られてたCONVERSEの通称「銀箱」っていう箱や、Reebokのクラシックの復刻モノだけが入れられてるユニオンジャック柄の箱とか、スニーカーボックスをモチーフにした家具なんかもあったりして。スニーカー好きにはたまらない、そんな有名な箱をモチーフにしてるなんて最高じゃないですか?

アートピースからグッズまで、今回のコンテンツ的にはすべてにちゃんと意味があって、僕自身がワクワクするコンテンツばかりなんですよ。そういうのって、大事ですよね」


今回、ギャラリーでの展示期間は4日間しかない。「短い、もったいない!」と話したら、実はこの話、続きがあるらしい。

「編集部の階下にフリースペースがあるので、T-SITEでの展示が終わったらそこに飾ろうと思ってます。いつも一緒にモノを作ってくれている人に、見てもらえるように」だって。クールだなぁ。アツイ思いが伝わってくる取材、シビレました。展示が楽しみ!


■KICKS MUSEUM Curated by Ollie

2016.7.17~7.20(11:00~20:00 ※最終日は18:00まで)

@DAIKANYAMA T-SITE GARDEN GALLERY

東京都渋谷区猿楽町16-15 代官山T-SITE GARDEN2号棟

Entrance Free

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