「学校帰りにデモに行く」SEALDsイベントで出会った高校生たち


まだ日が沈むには随分早い時間帯。17:00からそのイベントはスタートしていた。

6月5日(土)、<10代による10代のためのデイタイムクラブイベント>と銘打たれたイベント『Teenage Dream』が開かれる、渋谷CIRCUS Tokyoを訪れた。

この『Teenage Dream』はSEALDsの10代メンバーたちが主催しているのだが、イベントのテーマは「10代の人もかつて10代だった大人も楽しめる、ちょっと特別な夜をみんなでつくりたい」という、政治とは少し距離を置いたもの。ゲストにはSEALDsの奥田愛基氏UCD氏のほか、タナソウこと田中宗一郎氏を迎えるというイベントだ。

彼らの政治的主張の是非は一旦置いといて、10代で政治や国のあり方に関心を持ってる子たちってどんな感じなんだろうと興味が湧いたので、お邪魔させてもらった。

私は10代を卒業してからそんなに経ってないんだけど、「最近の10代」がリアルにどんなことを考えてるかはちょっと分からなくなりつつある、それくらいの年齢。自分も十分に「若者」の部類に入るけど、高校生くらいの子と会うのは変に歳が近いのもあって、こそばゆい気持ちになる。

イベントは田中宗一郎氏や奥田愛基氏らのDJとトークがメインで、やはり政治とは距離を置いた内容。タナソウ氏の選曲はマイナーなHIPHOPからPerfumeまで幅広く織り交ぜた、10代も大人の音楽好きも楽しめる内容。トークセッションは「最近の高校生ってどんな音楽聴くの?」みたいな緩めのトーンで、多くの人がその場に座り込み、彼らの話に耳を傾けるという時間だった。

会場に集まっていた高校生何人かに話を聞いてみた。


イベント運営の一人である「あべちゃん」は高校3年。受験勉強の傍ら運営に関わっているとのこと。「今の政治のこととかいろいろあるけど、今日はそういうの関係なしにみんなでUNITEできたらいいなと思ってる。むしろ政治わかんない、みたいな人の方が歓迎。僕も政治とかよく分かんなかったけど、分かんないからこそデモに行ってみて、そこでスピーチとか聞いていろんな考え方を知った。このイベントもそういう入り口になったらいいなって思うよ」

「あいねさん」は運営の友達に誘われて来たという都内の高校3年生。自身はもともと政治に興味があり、何度もデモに参加してスピーチまでしているという。「すごいね」と言うと「そんなすごいことなのか分かんないですけど」と答えた。

「SEALDsの国会前のデモが19時からだったので、放課後16時くらいから友達と遊んだ帰りにその流れで一緒にデモに参加することが多かった」という。

2人の話ぶりで驚いたのは、「国のあり方や政治の方針に対しておかしいと思ったときに行動へうつすこと」へのハードルの低さだ。

彼らにとってデモは仰々しい政治活動ではなく、興味があるからとりあえず行ってみるものであり、学校帰りに友達と立ち寄れるもので、「全然すごいことじゃない」らしい。

しかし、昨年夏のデモの盛り上がりに比べて、徐々に熱が冷めつつあるのも事実だと「あべちゃん」は言う。

「“#本当に止める”って言ってたけど、本当に法案可決を阻止できると思ってやってたかというとそうじゃないし。こういう活動からもちょっと離れようかなと思ってます」


SEALDsのデモは一時期大きなムーヴメントとなっていたように思うが、安保関連法制が昨年9月に可決してからは下火になってきているようだ。

彼らの話を聞いて、「自分の国のことなんだからもっとカジュアルに語ってもいいんじゃない?」というスタンスには共感したが、彼らの政治への関心が一過性のものでないといいな、と感じた。

政治はひとつの法案が通ったからといって終わりなわけではなくて、むしろその法案が施行されるのを市民がきちんと見届け、評価しなければならない。

18歳選挙権が実現する参院選はもうすぐ。彼らが政治を直接動かせるようになるのはむしろこれからだ。

デモを「全然すごいことじゃない」と言ってのける彼らが、これからどんな形で政治に関わっていくのかに注目したい。

そういう私も、ちゃんと今度の選挙行かなきゃね。


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