HMVのレコードショップ2号店オープンを機に振り返るアルタと新宿の“サブカル“史

カネコヒデシ(TYO magazine)

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レコード店「HMV record shop」の2号店が、2016年10月1日に「新宿ALTA」にオープンした。

「HMV record shop SHIBUYA」のオープンから2年、ココ数年のアナログレコードブームの追い風もあり、充実した品揃えで、レコード店としての地位を確立。オープンした時は、大型のレコード店が成立する? との声もあったが、それが懸念であったことを証明した。

そんなHMV recordの、次なる地は、かつての"サブカルの聖地"、新宿。

新宿という街のランデヴーポイントとしてもおなじみの「新宿ALTA」だ。

新宿は、60年代より、ジャズやロックを中心とした輸入音楽カルチャーの浸透とともに、ヒッピーやサイケなどのアンダーグランドカルチャーと政治運動が交差する"サブカルチャーの地"だった。

それ以降も、花園神社で開催していた唐十郎主宰の「状況劇場」や、寺山修司の「天井桟敷」などのアングラ劇団が生まれたり、「新宿ロフト」や「ロフトプラスワン」などのライブスペース、ディスコの「ニューヨーク・ニューヨーク」など、さまざまな新しいカルチャーを生んできた。いつもナニかが沸騰していた、そんな街なのだ。

なかでも「新宿ALTA」といえば、90年代には「ア・ストアロボット」や「DEP'T」、「オクトパスアーミー」など、一世風靡したさまざまなファッションショップのほか、当時としてはめずらしいカフェ&サンドイッチ屋「ジャック・アンド・ベティ」や、「アレ! コレってホントに大丈夫??」と思うほどのオカシな雑貨店もあったりした。

さらには、2005年7月末に閉店した輸入レコード店「cisco ALTA」もあり、2000年代前半までは、ファッションや音楽、アート、食などが混在する、まさに"サブカルの殿堂"だったのだ。

ちなみに、この「cisco ALTA」、"シスコ・タモリ店"という愛称で(一部局地的に?)呼ばれていた。その愛称は、今年3月31日に36年の歴史に幕を降ろした「Studio ALTA」が、怪物長寿TV番組『森田一義アワー 笑っていいとも!』の放送スタジオとして使用されていたからなのは、言わずもがな。

2000年代中盤になると、ガングロギャル、ヤマンバギャルなどをはじめとする、コギャルカルチャーのメッカへと変貌を遂げ、そのまま現在のレディースカルチャー中心の地となった。

新宿アルタは、つねに時代に合わせたカルチャーを発信してきたのだ。

ちなみに、「ALTA」の名前の由来は、「ALTERNATIVE(オルタネイティヴ)」からだそう。

今回、「HMV record shop 新宿ALTA」がオープンしたのは、約11年の歳月を経て、かつて「cisco ALTA」があった6階。11年の歳月を経て音楽カルチャーが「新宿ALTA」に戻ってきたのだ。

ほぼ1フロアを贅沢に使用した広大な店内には、中古のアナログレコードはもちろん、新譜レコード、中古CD、新譜CD、カセットテープ、本、機材、レコードケースなど、音楽に関係するアイテムが整然とならべられている。

もちろん渋谷店同様、"買取カウンター"もあるので、「売りたい!」と思ったレコードやCDをソコに持ちこめば、その場で鑑定し、買い取ってくれるシステムだ。

「日本で一番のアナログレコードマーケットに出店したかったんです!」とは、株式会社ローソンHMVエンタテイメント エンタメコンテンツグループ 新業態・開発事業本部の小松正人さん。

「東口にはディスク・ユニオンさんがあって、西口には特色があるお店が多い。新宿は、アナログレコードマーケットとしてはとても面白い地なんですよ」

新宿はよりドープなレコードマニアがあつまる土地だという。

「渋谷は、やはりDJカルチャーの根強い街で、売り上げ的にもダンスミュージック系が多いです。でも、新宿はクラブカルチャーよりもロック。だから、ロック系の品揃えを強化していますね」

たしかに新宿店のR&Bやヒップホップ、ハウス、テクノ、レゲエなどのクラブ系ミュージックのコーナーは、他のジャンルのコーナーに比べて小さい。

新宿の中でも「新宿ALTA」という場所を選んだ理由は、ダレもが知っているランドマークのひとつであるというのと、「cisco ALTAさんがあった場所ですし、たまたまご縁があって同じ6階になったのですが、当然、昔からのアナログファンには認知されやすい場所だとは考えています」ということで、やはり"シスコ・タモリ店"の存在は念頭にあったみたいだ。

ちなみに、「HMV record shop SHINJUKU」では、いま空前のアナログブームの第二波となりつつあるカセットテープのコーナーがかなり充実している。

「現状のカセットテープカルチャーは、レアなモノよりも、王道のUSロックやUKロックなどのいわゆる名盤と呼ばれているような音源、そういったモノが非常によく売れています。ちょっとずつですが、一般層にも根づいてきている状況もみえていますね」

今後のカセットテープカルチャーの動向には、期待をよせているようだ。

「カセットテープでの音源もリリースしていきたいと考えています。さらにはカセットテープそのもの、ハードの方の製作も念頭に置いていますよ!」と、ハードとソフトの両方が提供できるお店を目指すそう。

渋谷店では、さまざまなアーティストによるイベントも毎週のように開催されている。

新宿店でもその方向性は考えているとのコト。

「トークショウやDJ、ライブだったりと、いろいろと仕込んでいますよ。やはり、音楽と触れあえる場所として、イベントは今後も継続して強化していきたいと考えています」。

さらに今後の「HMV record shop」の方向性としては、「再発モノだったりのリリースのラインナップを充実させて、お客さんへの間口を広げていきたいですね。リリースをしながら、それに付随して中古レコードを提案していく。そんな感じで考えています」と、話してくれた。

かつての"サブカルの聖地"、新宿へと降臨した「HMV record shop」。

今回の出店によって、あたらしいヒトの流れが起こることはまちがいないだろう。

「新宿ALTA」だけではなく、新宿という街自体にナンらかの化学変化が起こるのではないか…そんな期待感をおぼえた。

photographer:healthy 

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