インディーズ出版の祭典『THE TOKYO ART BOOK FAIR』実感。メディアはマクロからミクロへ⁉︎

カネコヒデシ(TYO magazine)

[MediaDirector/Editor&Writer/DJ/Broadcaster/etc...]
TYO magazine ( http://tyo-m.jp )




アート出版に特化したブックフェア『THE TOKYO ART BOOK FAIR 2016(以下、TABF)』が、今年も2016年9月16日より開催された。

『TABF』は、2009年から開催し、個性豊かなアートブック、カタログ、アーティストブックはじめ、ZINEをつくる出版社やギャラリー、アーティストなどなど、国内外から300組ほどがあつまる、まさにアジアで最大のアートブックフェア。

8回目をむかえた今回は、例年よりも1日増え4日間での開催となった。

会場の京都造形芸術大学・東北芸術工科大学の外苑キャンパスに入ってすぐ、校舎入り口前は、ちょっとした軽食やらオーガニックワインやら、さまざまな飲食の出店&リラックススペース。

会場は、校舎の1階から2階まですべてを使用。

「ROOM A」から「ROOM H」までの8個のエキシビションスペースと、連日さまざまなイベントを開催する「EVENT SPACE」、日本を中心とするさまざまな都市のブックメーカーが出展した「INTERNATIONAL SECTION」、本づくりのプロや業者たちによる「PRINTER SECTION」と、そして、ひとつの国の出版文化に焦点を当てた「GUEST COUNTRY」の計12スペースで展開。


会場内に入るとヒト、ヒト、ヒト。

予想以上の来場者数に、ギッシリと詰まるように出展しているさまざまな出展者たち。

とにかく、入り口からモヤっと出ているその熱気に圧倒される。


海外からもたくさんの出版社やアーティストも出展しており、日本のカルチャーを題材にしたオリエンタルチックなジーンや作品なども展示、販売していた。

それぞれの出展者はかなり個性が強く……いや強烈すぎる個性の出展者も多かった。

それら出展作品を興味深々にのぞき込み、出展者との話にはずませている来場者たち。

初日にして、売り切れてしまった人気のZINEなども多数あるという。

もちろん、発行部数も少ないとは思うのだが、自費出版系雑誌へのその注目度がお分かりになるだろう。

廊下のとある場所では、現代アーティストの加賀美健とHIMAAこと平山昌尚、そして中村穣二による「場所取り禁止」パフォーマンスも。

残念ながら、それがパフォーマンスだと気づかず、通りすぎてしまった来場者も多いが…。

オリンピック&パラリンピックで盛り上がった(?)ブラジルがフィーチャーされた「GUEST COUNTRY」スペースでは、ブラジルのアートと本が並べられた、不思議な赤いスペースに、多くの人が足を止めていた。

各フロアそれぞれに特色があり、とにかくどの会場も驚くほどのヒトの山。


中でも、いちばん盛り上がっていたのは「INTERNATIONAL SECTION」。

日本も含め、さまざまな国の出版社などが出展したスペースで、日本には入って来ていない海外の出版社の作品をはじめ、日本から世界に向けて発信しているZINEやアート本などが展開。

そして、今回の『TABF』の目玉のひとつである、『STEIDL BOOK AWARD JAPAN』もこちらのスペースで開催されていた。

アワードで審査の対象となった、出版物の完成系をイメージするために編集、デザイン、製本したダミーブックや、自費出版のアートブックが展示されており、おそらく世界に一冊しかないと思われるコレらの作品に、多くの来場者が興味を持ち、手にしていた。

もちろん、殺人事件の現場検証なみの白い手袋は必須!


ちなみに、今回のグランプリ受賞者は、ドイツの「Steidl」社に招待され、ゲルハルト・シュタイデル氏とともに編集、デザイン、印刷、製本にいたるすべての本作りの工程を踏んで、2017年に「Steidl」社から作品を出版できる。しかも、その本は世界中で流通されるという、なんとも壮大なロマンを感じる企画なのだ。


その隣のスペースでは「Steidl」社の本を一堂に展開した出展スペースも。出展者によると、「「Steidl」社の本が、これだけ一堂に揃うコトはない」とのコト。


そんなこんなで、ヒトごみに疲れたら、ちょっと休憩で外の飲食スペースへ。

ワインでも飲みながら、"COMPUMA"こと松永耕一氏によるセレクションのBGMを、ぼんやりと楽しめるのもイイ。

とにかく、このブックフェア全体が気持ちよくいられるスペースのつくりになっているのも、魅力のひとつ。

若干のコミケ感もあるのだが、コミケ感ほどの固執的なアノ感じはない。
来場者、出展者ふくめ、ナニかあたらしいモノを求めている、欲求の渇望的な部分も感じた。

それこそ、ココでしか体験できない"ナニか"を体感できたり、手に入れたりできるという、唯一無二の魅力があるのかなと思う。

雑誌や新聞などのフィジカルなメディアが衰退し、インターネットメディアが主流となっている現代社会。

メディアは、ミクロからマクロへの時代と言われてもいるが、この場所ではその逆の、むしろマクロからミクロへのメディアという流れを感じた。そんな『TABF 2016』であった。

0コメント

  • 1000 / 1000