美術画廊がストリート化!? グラフティアート展が百貨店で開催される理由

すぎもとまさひろ

大阪出身
フリーライター & 編集者

9月14日から新宿高島屋美術画廊で開催されている展覧会『CONNECT』。YUSUKE HANAI、hi-dutch、Kads MIIDAそしてGOMAが参加するこのグループ展は、これまでのデパートの画廊で行われる展覧会とは一線を画するものがある。主にコンテンポラリーアートを展示する百貨店の美術画廊で、グラフティを彷彿させるサブカルチャーを見せるのは、ある意味チャレンジとなるのだ。


画廊担当の金井隆幸は語る。 

「これまで美大などで美術教育を受けてきた方たちを中心に展示を行ってきた百貨店の美術画廊で、こういう展示をするという意義はあるのではないかと考えています。今やマンガ・アニメは日本の誇れる文化として世界を斡旋していますし、これまでの日本画、洋画、彫刻、工芸、などといった枠組みもあいまいになっている。表現方法やインスタレーションなど、実に様々な様相になっているのが、今のアート、美術界の現状だと思います。活動の場にしてもギャラリーで展示をするだけでなく、ストリートに表現の場を求める人もいれば、ファッションや音楽など、様々なカルチャーとリンクすることで、より幅広い層へ存在をうったえるアーティストもいるでしょう。しかし、多種多様になってきたとはいえ結局これまでの美術界のように、いわゆるジャンルで固まってしまう傾向にあると思うんですね。ですから、今回のような展示をこの画廊で開催するということで、作家にとっても、開催する側にとっても、お互いに良い刺激になればと思っています」

一方、実際に展示を行う作家たちにとっても、この展覧会は刺激的であるようだ。

 「高島屋美術画廊という、これまであまり接点のなかったカラーの場所で展示ができることは、とても光栄です。金井さんに自宅まで来てもらって、主催者側からの意見も聞きながら、展示作品のイメージを膨らませました。普段展示をしているギャラリーなどとはまた違った場所なので、新しい発見や出会いなどもあればいいなと思っています。貴重な機会をいただけてとても嬉しいです」

とは、GOMAの言葉。

YUSUKE HANAIもこう語る。

「一緒に展示させて頂く3人のアーティストは、どの人も好きなアーティストです。何度も展示をご一緒させてもらっている作家から、共通項はあるけど、一緒に展示をしたことがなかった方もいます。でも、全員はなにかしらで繋がっているアーティスト達なので、全員が展示して壁画が出来上がった時に、会場がどんな雰囲気のなるのか楽しみです」

14日から17日までライブペイントによる公開制作を行い、作品を作り上げていく過程も楽しむことができるこの展覧会。17日の17時からはオープニングパーティも開催され、GOMAによるディジュリドゥのミニライブも行われる。展示される作品はもちろん展示方法やパーティの内容を取っても、百貨店の美術画廊としては規格外のものになるのだろう。


YUSUKE HANAI

 2006年よりカリフォルニア、ラグーナビーチにあるサーフギャラリーにて作品の展示を開始。 翌年にはサーフギャラリーが主催したアートショー『The Happening』に参加し、 ニューヨーク、シドニー、東京、ロンドン、パリにて作品を発表している。Gravis、BEAMS等へのアートワークの提供など、国内外問わず活動の幅を広げている。 

hi-dutch 

平面、映像、立体など様々な表現に対し、色々な立場で製作に関わる活動を続けている。パーソナルな作品としては近年、木材、毛糸、樹脂を使った作品発表し続ける。毛糸という素材を綿密に並べ、サーフボード制作に使用される樹脂、レジンで封じ込めるという唯一無二な作品は、サーフィンを楽しむ彼ならではのものとなっている。 

Kids MIIDA

 “自由である事、自然の一部である事” をテーマに多様な手法で生命感溢れる作品を創出するアーティスト。1990年代より開始したライブペインティングは、ジャンルの垣根を越え、その牽引者として評価される。2011年の震災以降は、国内に目を向け全国を旅し、出会った人々と共に次世代へ向けてのメッセージを込めた作品制作に邁進する。 


GOMA

 豪州先住民族の楽器ディジュリドゥの奏者・画家。ミュージシャンとして全国の野外フェスティバルや海外にも活動の幅を拡げ、勢いに乗っていた2009年、追突事故に遭い「外傷性脳損傷による高次脳機能障害」と診断される。2010年、事故後間もなく描き始めた点描画が評判となり、国内外で展覧会を継続的に開催。2011年には再起不能と言われた音楽活動も苦難を乗り越え再開した。 

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