Russ Popeに習うクールなおっさん学

7月26日にクロームの旗艦店であるCHROME TOKYO HUBでサインイベントを行うために来日していたRuss Popeへの取材が決まったのは、イベント開催の1日前だった。いや、もしかしたら当日だったかもしれない。事前リサーチでは、スケートボード界における“影のキーパーソン”などと呼ばれているということが判明。少々緊張しながら、自宅から取材先までチャリを飛ばした。

こちらの勝手な緊張を解すかのような、ユルめなタトゥーを入れた44歳。Russ Popeってクールなおっさんだなと思った。

これまでいろいろなスケーターにインタビューしてきたけど、若いスケーター特有の気怠さだったりウザさをまったく感じなかった(それがスケーターのクールさの所以であるけれども)。

年齢が近いこともあってか、“Film Por Vida” を主催しているJai Tanjuとどこか似ているバイヴスを感じた。カルフォルニア人特有のユルめなバイヴスを醸しだちつつも、しっかりやることはやっている人物っていうか。生きていくうえでそれはごく基本的なことかもしれないけど、人生を楽しんでいる人っていうのが今回の印象だった。

( photo credit : russpope.com )


この日は会場であるCHROME TOKYO HUBに早く到着してしまったのもあって、店の周りをプラプラしていた。そしたらどこか聞き覚えるのある声で「Hey,dude!」と声を掛けられた。ふと後ろを振り返ると、そこには世界中を飛び回ってる友人でフォトグラファーJack Mckainの姿が。なんでも香港の帰りで一日だけ東京にいるらしい。

偶然すぎる久しぶりの再会に喜びながらも、すでにJackは本日の主役であるRussに挨拶を済ませていた。そもそもカメラ担当は別にいたのだが、なぜか写真を猛烈に撮りたがるJackのプッシュにより急遽撮影をお願いすることに。そんなユルさ満点の取り決めもたまにはありだろう。

今回の主役であるRuss Popeという人物なのだが、巷では知る人ぞ知る存在、影のキーパーソンなどと呼ばれている。でも実際にプロで活躍したことはなく、おそらく若いスケーターにはあまり馴染みがないと思う。どうやら日本でも絶大な人気を誇るJohn Cardielのアニキが頭角を現してた頃に一緒に滑ってたらしい人らしい。そんな不屈の魂を持つ男とほとんど同世代で、10代の頃から一緒にコンテストを荒らしまわっていたとか。一番分かりやすくいうとCreature SkateboardsやScareceowの発起人で、John Cardielの幼馴染かつアーティストというところに落ち着くのではないだろうか。

現在はアーティスト業の傍ら、Transportation Unitというスケートブランドを運営。Russはこれまでに3つのスケートボードカンパニーを立ち上げており、以前立ち上げた2ブランドは既に売ってしまったらしい。スケートブランドをだれかに売るっていう感覚は、やはりスケート大国アメリカならではのことだなと若干感心してしまった。

( photo credit : russpope.com )


スケートボードブランドの立ち上げや売却など、ここまでだけでもRuss Popeの影のキーパーソン感が伝わっていると思うが、Russのクールさはこれだけではない。

今回はアーティストとして来日しているが、現在家族と一緒に住むボストンではコンバース社のマーケティングとコンバースSBの統括を担当。しかし、「休暇も多くもらえるし、自分でアートショーを行える時間ももらえるんだ」とアッサリ語る。デカイ会社でプロパーな職業がありながら、アーティストとして家族と共に日本でブックリリース。これってアーティスト活動している日本のスケーターにしてみれば、夢のようなことなのではないだろうか。というか、アーティスト、マーケティング、ブランド運営って、相当マルチなおっさんである。

一見、嫉妬してしまうような“グッドライフ”を送っているが、「いまでも毎日絵を描くよ。なぜかというと記憶しておくべき面白いことが日々起こるからなんだ。今日のストーリーがあって、明日には新しいストーリーがまた存在する。自分にとっては毎日がインスピレーションなんだ」という言葉にある通り、毎日続けているライフワークがあってからこそRuss Popeという人物がいるのだと自分は思う。

今回日本でリリースイベントを行った自身のアートブック『Line Lines』だけでなく、2016年後半にも2個のソロエキシビジョンが控えているらしい。さらに、REBEL8を主催するMike Giantとも何かプロジェクトを仕込んでるとか。Russおじさんヤバイです。

( photo credit : russpope.com )


Russの年齢を考えると、彼自身が若い世代から尊敬される立場にいると思うが、逆に彼が尊敬するアーティストを訊いてみた。

速攻で帰ってきた回答には「Mark Gonzales」の一言。「ほとんど同い年じゃないの」というツッコミに似た質問にも、「いやゴンズの方が4つ上で、今はお互い40代だしあまり年齢のギャップは感じないけど、スケートを始めたときは本当にアイドルみたいな存在だった」と語る。こんなクールなおじさんにもリスペクトされるゴンズって一体何者なのだろうか。確かにアートワークのユルさは共通する部分があるかもなんて思ったり。

( photo credit : russpope.com )


これは本邦初公開だと思うが、Russはスケート以外にも自転車が好きらしい。ここには自転車好きの自分もちゃっかり共感。

「仕事にいくときは電車を使うけど、毎日自転車に乗るようにしている。膝にもスケートほど負担がかからないからね。自転車に乗り終わってからペイントしたりして、一種のセラピー的な面があるかもね」という言葉に、”やっぱりクールなおっさんは自転車に乗るんだ”とか妙に納得しつつ、インタビューを終えた。

個人的なことだが、自分も30代に突入。家族、コーヒー、ピザとブリトーを愛するクールなおっさんになるためのヒントを、Russとの対話で掴んだ気がする。


photography : Jack McKain

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